TOP > パーキンソン病の訪問リハビリマッサージ > パーキンソン病で寝返り・起き上がりができない|腕の力ではなく、胸と骨盤を分ける問題です
パーキンソン病で寝返り・起き上がりができない|腕の力ではなく、胸と骨盤を分ける問題です
この記事の要点(TL;DR)
- 寝返りは「腕の力」で打つものではありません。胸と骨盤が別々の方向にねじれることで回る動きで、固縮でひとかたまりになると、力があっても回れません
- 夜中・早朝に動けなくなるのは、薬が切れる時間帯(オフ)に固縮が一日で最も強くなるためです。ご本人の努力不足でも、ご家族の介助が下手なのでもありません
- 「頑張って起きて」「腕で押して」で変わりにくいのは、意識ではなく胸郭・骨盤・呼吸の条件の問題だから。順番は土台からです
- 介助のコツで今夜の負担は減らせます。そのうえで「回れる条件」を体の側に作ると、介助そのものが軽くなります
ご注意(必読)
- 本記事はご本人・ご家族向けの情報提供を目的としています
- 記載のアプローチはすべて専門施術者が行う手技です。ご自身での再現はお控えください
- 服薬の内容や時間は自己判断で変えず、必ず主治医(神経内科)・リハビリ担当医にご相談のうえ、対応できる専門施術者にご依頼ください
パーキンソン病の寝返り・起き上がりは、本当に戻せないのか?
夜中にトイレへ行きたいのに、布団の中で体が動かない。ご家族を起こし、腕を引いてもらってやっと横を向く。朝は薬が切れていて、ベッドの柵をつかんでも上半身が起きてこない。介助するご家族の腰は限界に近い——。
結論から言います。寝返りが打てないことのすべてが「病気そのもの」ではありません。固縮・無動という土台の上に、胸郭と骨盤の分離が消える・呼吸が浅くなり腹圧が抜ける・動かない体のファシアが固まる、という「機能の崩れ」が上乗せされています。病気由来は主治医の薬物療法で、上乗せ分は手技で。この二本立てなら、「夜は呼ばれるのを待つしかない」から一歩踏み出せます。
なぜパーキンソン病では寝返りが打てなくなるのか?
健康な人は眠っている間に何度も寝返りを打ちますが、腕で床を押してはいません。先に頭と胸(胸郭)が向きを変え、少し遅れて骨盤と脚がついてくる。胸と骨盤が別々の方向にねじれる——専門的には体軸内回旋と呼びます——この「ねじれ」が原動力で、腕は最後に添えるだけです。
パーキンソン病では、要因が3つ重なってここが崩れます。
- ① 固縮が体幹に出て、胸と骨盤がひとかたまりになる——筋固縮は手足だけでなく、背骨まわり・胸郭・骨盤の筋にも出ます。ねじれが生まれず、丸太を転がすように体全体を持ち上げるしかなくなり、「腕の力」に頼ることになります
- ② 夜間・早朝は薬が切れて、固縮が一日で最も強い——薬の効果は夜の間に薄れ、明け方には切れた状態(オフ)になります。昼間は起きられるのに夜中と朝だけ動けないのは、このためです
- ③ 何時間も同じ姿勢でいた体は、組織そのものが固まる——筋・神経・血管を包んで全身をつなぐ結合組織のネットワーク(ファシア)が、層と層の間で滑らなくなります
起き上がりも同じです。本来は「横を向く→肘で支える→脚を下ろす→座る」の順で、寝返りの回旋から始まります。回れない体は、腹筋運動のようにまっすぐ起きようとして首と腕で持ち上げ、途中で止まります。寝返りが打てないから、起き上がれないのです。
「頑張って起きて」「腕で押して」と声をかけるだけでは、なぜ戻らないのか?
意識の問題ではなく、機能の問題だからです。胸と骨盤がひとかたまりのまま「腕で押して」と言われると、腕と首に全力が入り、体幹の固縮はさらに強まって体はますます一本の棒になります。力を入れるほど回れなくなる——これが正体です。
ご家族も同じです。腕を引っ張って起こす介助は、ご本人の肩とご家族の腰を痛め、固縮を強めます。うまく起こせないのは、介助が下手だからではありません。回れない体を、回すための条件を作らないまま持ち上げているからです。
寝返りが打てないまま放置すると、どうなるのか?
寝返りは夜の一場面ではなく、生活機能全体の入口です。
- 床ずれ(褥瘡)——同じ場所に体重がかかり続け、仙骨・かかとの皮膚が赤くなり始めます
- 夜間の転倒・転落——トイレに間に合わせようと、動けない体で無理に起きた瞬間が最も危険です
- ご家族の限界——一晩に何度も起こされ、腰を痛めながら持ち上げる生活は長く続きません
- 寝たきりへの階段——起き上がれない→座る時間が減る→立たない→歩かない。寝たきりの原因の多くは、この最初の一段から始まります
夜間・早朝の介助で、ご家族が楽になるコツ
今夜から介助を軽くする方法があります。ポイントは「持ち上げない、回す」です。両膝を立て、両腕を胸の前で組んでいただき、向く側と反対の脚を上に組みます。介助者は肩と骨盤に手を添え、骨盤から先に回します。骨盤が回れば、立てた膝の重みで体は自然に横を向きます。腕は引っ張らないでください。滑りやすい素材やスライディングシートでシーツとの摩擦を減らすと、必要な力はさらに減ります。夜間・早朝の動けなさが強い場合は、いつ・どのくらい動けないかを記録して主治医(神経内科)へ。夜間の服薬の組み立ては医師の判断です。ご自身で薬の時間や量を変えないでください。
相談所はどう立て直すのか――4ステップの設計
相談所では、鈴木密正(鍼灸あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師)が体系化した4ステップを、鈴木が監修・技術指導した施術者が寝返り・起き上がりに向けて組み立てます。目標は「腕の力をつけること」ではなく、胸と骨盤が別々に動ける条件を体に戻すことです。
ステップ1:骨格ポジションの修正——固縮で固まった胸郭・背骨・骨盤まわりのファシアを徒手で解き、胸郭が骨盤と別々に回れる状態を作ります。力任せにねじるのではなく、居座っている緊張のパターンを先に解除するのが要点です。
ステップ2:腹圧が入るポジションを整える——胸郭が広がらないと横隔膜が動かず、おなかの内側から体を支える力(腹圧)が入りません。腹圧は回旋の軸になる天然のコルセットです。
ステップ3:体幹や骨盤底筋を機能させる——PNF(固有受容性神経筋促通法)で、片方の肩と反対側の骨盤を結ぶ「対角線の動き」を、軽い抵抗をかけて神経の通り道に思い出させます。相反抑制(reciprocal inhibition)——主動筋を働かせると反対側の筋が緩む反射——を使い、固縮した側を揉むのではなく反対から緩めます。
ステップ4:寝返り→起き上がり→座位へつなげる——回れる体で、寝返り・肘での支え・脚下ろし・端座位・立ち上がりを段階的に再建します。トイレ・入浴・着替えの動作は、この延長にあります。
施術は薬が効いている時間帯(オン)に合わせて設計します。緊張の出どころが中枢側にあるケースでは、状態に応じてYNSA(山元式新頭針療法)——山元敏勝医師が開発した、頭部への鍼で全身の状態を整える手法——を組み合わせます。
よくあるご質問
Q. 発症から年数が経ち、かなり進行しています。今さら寝返りは変わりますか?
A. 年数が経ったケースでも変化は起こり得ます。相談所には事例があります。進行してヤール4・5度に入った方でも、胸郭と骨盤の固さ(ファシア)は今から働きかけられる層です。「固まっているから仕方ない」で終わらせません。
Q. 夜中に何度も起こされて眠れず、介助で腰を痛めました。どうすればいいですか?
A. まず本文の介助のコツで、持ち上げる介助をやめてください。そのうえで、ご本人の体に「回れる条件」を作ると、介助に要る力そのものが減ります。福祉用具はケアマネジャーへ、薬は主治医へ、体の条件は相談所へ。
Q. 夜の薬を増やせば、夜中も動けるようになりますか?
A. お薬の判断は、必ず主治医(神経内科)にお任せください。夜間・早朝に動けない時間帯と程度を記録してお持ちいただくと、医師が判断しやすくなります。相談所は薬に触れず、薬が効いている時間帯の体の条件を整えます。
Q. 病院の訪問リハビリテーション・通所リハビリと併用できますか?
A. 併用されている方が多くいらっしゃいます。療法士の方が動作練習を担い、相談所側は胸郭・骨盤・腹圧という土台と、固縮・組織の固さの解除を担います。
Q. 健康保険で受けられますか?
A. 健康保険適用の訪問リハビリマッサージとしてお受けいただけます。1回あたりの自己負担は数百円程度〜が目安で、対応エリア内であれば出張費・交通費はかかりません。適用には医師の同意書が必要で、取得手続きは相談所が代行サポートいたします。
Q. どのエリアに来てもらえますか?
A. 大阪市(東成区・城東区・鶴見区)、東大阪市、八尾市へお伺いしています。
まとめ|「腕の力が足りない」のではない
寝返り・起き上がりの困難には、病気由来の固縮と、胸郭・骨盤・呼吸・ファシアの機能由来の部分が混ざっています。機能由来の部分は、骨格→腹圧→体幹→動作の順で立て直す余地があります。相談所がこの症状を土台から診るのは、夜の一場面を「介助で乗り切るもの」で終わらせないためです。昼間はまだ動けている今、回れる条件を体に戻せば、夜に呼ぶ回数も、持ち上げる力も、減らせます。
大阪市(東成区・城東区・鶴見区)・東大阪市・八尾市で、夜中の寝返りや朝の起き上がりの介助にお困りのご本人・ご家族は、健康保険適用の訪問リハビリマッサージ相談所までご相談ください。対応の全体像はパーキンソン病の訪問リハビリマッサージのページでご案内しています。胸と骨盤のどこが一緒に固まっているのかを、実際の寝返りを拝見して整理するところから、回れる条件を設計します。
監修・技術指導:鈴木 密正
鈴木 密正(鍼灸あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師)が、本記事のアプローチを開発・体系化しています。
PRI(Postural Restoration Institute)/DNS(Dynamic Neuromuscular Stabilization)/ファンクショナルトレーニング・PNF(固有受容性神経筋促通法)・YNSA(山元式新頭針療法)など、機能解剖学・神経筋療法・伝統医療の現代的アプローチを統合し、脳梗塞後の麻痺・廃用症候群・パーキンソン病等の運動機能改善において、骨格 → 腹圧 → 体幹・骨盤底筋 → 歩行の4ステッププロセスを開発・指導しています。
訪問リハビリマッサージ以外にも、東大阪市で治療院兼トレーニング・コンディショニングジムを運営しています(true-function.com)。
鈴木自身はご訪問できません
代表の鈴木は、既存のご利用者様への対応で予約が満杯のため、訪問リハビリマッサージの新規対応は停止しております。
「訪問リハビリマッサージ施術勉強会」で技術を継承した施術者がご訪問します
その代わり、鈴木が主催する「訪問リハビリマッサージ施術勉強会」で技術を継承した業務委託施術者をご紹介いたします。同じ4ステッププロセスを学び、現場での実践指導を受けた施術者のみが、同等のアプローチでご訪問いたします。
訪問リハビリマッサージ相談所/〒577-0056 大阪府東大阪市長堂1-8-28-1309/フリーダイヤル 0120-92-4976(9:00〜20:00・日曜・祝日定休)