TOP > 訪問マッサージ・訪問鍼灸の健康保険と、医師の同意書
訪問マッサージ・訪問鍼灸の健康保険と、医師の同意書
このページの要点
- 訪問マッサージ・訪問鍼灸は健康保険(療養費)で受けます。介護保険ではありません
- だから介護保険の支給限度額を使いません。デイサービスや訪問看護を限度額いっぱいまで使っている方でも、追加で受けられます
- 利用には医師の同意書が必要です。有効期間は同意日から6か月で、その都度あらためて同意をいただきます
- マッサージの対象は病名ではなく状態で決まります。「筋麻痺、関節拘縮等であって、医療上マッサージを必要とするもの」が対象です
- 自己負担の目安は1回数百円程度〜。対応エリア内は出張費・交通費0円です
- 同意書をもらう手続きは、相談所が代行サポートします。ご家族が主治医と交渉する必要はありません
ご注意(必読)
- 同意書を出すかどうかは医師の判断です。ここに書いてあるのは制度の仕組みと、確認しておくと話が早く進む点です
- 自己負担の割合・支給の可否は、加入されている保険者と主治医の判断によって異なります
- 施術はすべて国家資格を持つ専門施術者が行います。ご自身での再現はお控えください
訪問マッサージ・訪問鍼灸は、どの保険で受けるのか?
健康保険(医療保険)です。介護保険ではありません。ここが、在宅の他のサービスといちばん違うところです。
あん摩マッサージ指圧・はり・きゅうは、健康保険のなかでも「療養費」という枠で扱われます。医師の同意書があり、対象になる状態であれば、病院にかかるのと同じ健康保険証で受けられます。
| サービス | 使う保険 | 介護保険の支給限度額 |
|---|---|---|
| 訪問リハビリマッサージ・訪問鍼灸 | 健康保険(療養費) | 使わない |
| 訪問リハビリテーション(理学療法士等) | 介護保険または医療保険 | 使う |
| 訪問看護 | 介護保険または医療保険 | 使う場合がある |
| デイサービス・デイケア | 介護保険 | 使う |
| 訪問介護(ヘルパー) | 介護保険 | 使う |
この違いが、実務ではいちばん効きます。ケアマネジャーから「これ以上サービスを増やすと限度額を超えます」と言われた方でも、訪問マッサージ・訪問鍼灸は枠の外なので追加できます。デイサービスも訪問看護もそのままで、上乗せする形になります。
健康保険が使えるのは、どういう状態の人か?
病名ではなく、いまの体の状態で決まります。ここを誤解されている方が非常に多いところです。
あん摩マッサージ指圧の場合
厚生労働省の通知では、支給の対象は「筋麻痺、関節拘縮等であって、医療上マッサージを必要とするもの」とされています。特定の病名リストがあるわけではありません。
実際に対象になりやすいのは、次のような状態です。
- 脳梗塞・脳出血の後遺症で、片側の手足に麻痺が残っている
- 関節が固まってきて(拘縮)、着替え・オムツ交換・入浴介助がしづらい
- 寝ている時間が長くなり、筋肉がやせて動けなくなってきた(廃用)
- パーキンソン病・脊髄小脳変性症などで、筋肉のこわばりや動きにくさがある
- 骨折後・手術後に、関節の動く範囲が狭くなったまま戻っていない
はり・きゅうの場合
はり・きゅうは対象となる疾病が定められていて、神経痛、リウマチ、頸腕症候群、五十肩、腰痛症、頸椎捻挫後遺症の6つ、およびこれらに類する慢性的な疼痛を主な症状とする疾患が対象です。
「訪問」で受けるための条件
自宅まで来てもらう分(往療料)については、歩行が困難であるなど、通って施術を受けることが難しいという理由が必要です。「通えるけれど面倒だから来てほしい」は対象になりません。
逆に言えば、通院がしんどくなってきた方・付き添いがないと外に出られない方は、ここに当てはまります。
医師の同意書は、どうやってもらうのか?
主治医に「訪問マッサージを受けたいので同意書をお願いします」と伝えるところから始まります。用紙の書式は決まっていて、相談所からお渡しします。
実際の流れはこうです。
| 順番 | やること | 誰が |
|---|---|---|
| 1 | 相談所へご連絡(電話・LINE・フォーム)。お体の状態とお住まいの地域をうかがいます | ご本人・ご家族 |
| 2 | 健康保険の対象になりそうかを確認し、無料でお体の状態を見にうかがいます | 相談所・施術者 |
| 3 | 同意書の用紙をお渡しし、主治医への伝え方をご説明します | 相談所 |
| 4 | 受診のときに主治医へ用紙を出して、記入をお願いします | ご本人・ご家族 |
| 5 | 同意書を相談所へお渡しいただき、施術を開始します | ご本人・ご家族 |
主治医に何と言えばいいか
「同意書をください」だけだと話が止まることがあります。医師が判断するのはいまの状態がマッサージを必要とするものかどうかなので、そこが伝わる言い方をします。
- 「左の手足の麻痺で、肘と指が固まってきています。訪問マッサージを受けたいので同意書をお願いできますか」
- 「通院がしんどくなってきたので、自宅でマッサージを受けたいと思っています。同意書の用紙を持ってきました」
- 「デイサービスは限度額いっぱいなのですが、訪問マッサージは医療保険なので枠の外だと聞きました」
次の3点が伝われば、話は早く進みます。
- どこが、どう動かないか(麻痺・拘縮・こわばりの場所)
- 生活のどこで困っているか(着替え・トイレ・入浴・歩行)
- 通院が難しいこと
この整理は相談所でお手伝いします。何をどう伝えるかを書いたメモをお渡ししますので、ご家族が主治医と交渉する必要はありません。
同意書の有効期間はどれくらいか?
初療または医師による再同意の日から起算して6か月です。マッサージも、はり・きゅうも同じです。
6か月を過ぎたら、そのまま続けられるわけではなく、あらためて医師の同意をいただきます。相談所から時期をご案内しますので、忘れて途切れることはありません。
| 種類 | 有効期間 |
|---|---|
| あん摩マッサージ指圧 | 初療または再同意の日から6か月 |
| はり・きゅう | 初療または再同意の日から6か月 |
| 変形徒手矯正術(関節の変形に対する矯正) | 初療または再同意の日から1か月 |
費用はいくらかかるのか?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 1回あたりの自己負担 | 数百円程度〜が目安(負担割合1〜3割により異なります) |
| 出張費・交通費 | 0円(対応エリア内) |
| 対応する保険 | 各種健康保険/後期高齢者医療/生活保護(医療扶助)/各種医療証 など |
| 初回のご相談・状態確認 | 無料 |
| 必要な書類 | 医師の同意書(手続きは相談所が代行サポート) |
※施術内容・回数・保険の種類により変わります。正確な金額はお問い合わせください。
介護保険のサービスと併用できるのか?
併用できます。訪問マッサージ・訪問鍼灸は健康保険なので、介護保険のケアプランの枠を消費しません。
実際には、次のような組み合わせでご利用いただいています。
- デイサービス週3回 + 訪問マッサージ週2回
- 訪問看護 + 訪問リハビリテーション + 訪問マッサージ
- ヘルパー(生活援助)+ 訪問マッサージ
ケアプランに直接組み込むサービスではありませんが、訪問の曜日・時間はケアマネジャーと調整します。1日に予定が重なってご本人が疲れてしまっては意味がないので、そこは必ず擦り合わせます。
同意書を断られることはあるのか?
あります。よくあるのは次の3つで、それぞれ対応の仕方が違います。
| 断られ方 | 背景 | できること |
|---|---|---|
| 「マッサージは必要ないでしょう」 | いまの状態が医師に伝わっていない | 麻痺・拘縮の場所と、生活のどこで困っているかを具体的に伝え直す |
| 「うちでは書いたことがない」 | 同意書の書式・手続きに馴染みがない | 相談所から書式と記入例をお渡しする。制度の説明資料も添えられます |
| 「リハビリに通っているから」 | 他のリハビリとの重複を心配されている | 役割が違うこと、介護保険の枠を使わないことを説明する |
それでも同意が出ない場合、無理に進めることはしません。医師の判断が制度の前提です。ただ、状態が正しく伝わっていないだけというケースはよくあります。まずはご相談ください。
相談所は、どこまでやってくれるのか?
相談所は、ご相談をうかがい、健康保険の対象になりそうかを整理し、技術を継承した施術者をご紹介する立場です。実際にご自宅へお伺いするのは、国家資格を持つ施術者です。
- お体の状態と、健康保険の対象になりそうかの確認(無料)
- 同意書の書式のお渡しと、主治医への伝え方のご説明
- お住まいの地域・ご希望の曜日で対応できる施術者の手配
- ケアマネジャー・主治医との連絡調整
- 6か月ごとの再同意の時期のご案内
代表の鈴木は、既存のご利用者様への対応で予約が満杯のため、訪問の新規対応は停止しております。その代わり、鈴木が主催する「訪問リハビリマッサージ施術勉強会」で技術を継承した業務委託施術者をご紹介いたします。
よくあるご質問
Q. 介護認定を受けていないと使えませんか?
いいえ。訪問マッサージ・訪問鍼灸は健康保険の制度なので、介護認定は必要ありません。要支援・要介護の認定がない方でも、医師の同意書があり対象となる状態であればご利用いただけます。
Q. 施設に入居していても受けられますか?
ご入居先へお伺いできる場合があります。施設の種類と、施設側の受け入れ方針によって変わりますので、まずはお問い合わせください。
Q. 同意書は毎回もらいに行くのですか?
6か月ごとです。定期受診のタイミングに合わせられるよう、時期は相談所からご案内します。
Q. 主治医が遠方・別の病院でも大丈夫ですか?
問題ありません。同意書を書いていただくのは、いまの状態を把握している医師です。かかりつけ医でも、退院した病院の主治医でもかまいません。
Q. どのくらいの頻度で来てもらえますか?
お体の状態とご希望に合わせて設計します。週1回から、週3〜4回の方までいらっしゃいます。回数は介護保険の限度額とは無関係です。
Q. 家族が記事を読んで、自分でマッサージしても大丈夫ですか?
専門施術者の判断なしの自己流アプローチは、状態を悪化させる恐れがあります。特に麻痺のある方の関節を無理に動かすことは避けてください。必ず主治医・リハビリ担当医にご相談のうえ、対応できる専門施術者にご依頼ください。
Q. 相談だけしても大丈夫ですか?
もちろんです。「うちの地域は対応エリアに入っているのか」「この状態で保険が使えるのか」の確認だけでもかまいません。ご相談の時点で費用は発生しません。
参考・出典
- 厚生労働省「はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の同意書の取扱いについて」(保険医療機関及び保険医向け通知)
- 厚生労働省 地方厚生局「はり師、きゅう師及びあん摩マッサージ指圧師の施術に係る療養費の支給について」(支給対象・同意書の有効期間・往療料の取扱い)
制度の詳細は改定されることがあります。最新の取扱いは、加入されている保険者または相談所へお問い合わせください。