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進行性核上性麻痺(PSP)はなぜ後ろに転ぶのか|後方転倒を防ぐ環境・介助・神経からの立て直し

【この記事の要点(TL;DR)】

  • PSP(進行性核上性麻痺)の最大の特徴は、発症の早い段階から繰り返す「転倒」、それも「後ろ向き」に倒れやすいことです
  • 後方転倒には3つの理由が重なります。①首・体幹が後ろに反る姿勢 ②下を見る目の動きが難しく足元が見えない ③危険を顧みず衝動的に立ち上がる(前頭葉の症状)
  • パーキンソン病が「前のめり」なのに対し、PSPは「後ろに反る」。だから対策も逆向きに考える必要があります
  • 訪問施術は、反った首・体幹を整え、固縮をゆるめ、座位・立位を安定させて「転びにくい体」をつくります。環境・見守りと合わせれば、転倒は減らせます。進行期でも変化は起こり得ます

【ご注意(必読)】 本記事はご家族・一般の方向けの情報提供を目的としています。PSPは診断・治療に神経内科などの専門的判断が必要な指定難病です。記載のアプローチはすべて国家資格を持つ専門施術者が行う手技で、ご自身での再現はお控えください。転倒は大けがにつながります。介助・見守りには十分ご注意のうえ、必ず主治医・専門医・リハビリ担当医にご相談ください。

なぜPSPは「後ろ」に転びやすいのか?3つの理由が重なります

結論から言います。PSPの後方転倒は、「後ろに反る姿勢」「足元が見えにくい目の動きの障害」「危険を顧みず立ち上がる衝動性」――この3つが重なって起こります。
① 首・体幹が後ろに反る:パーキンソン病が前かがみになるのとは逆に、PSPでは首が後ろに反り、体幹も伸びて、重心が後方に偏ります。
② 下を見る目の動きが難しい:PSPでは、眼を上下(とくに下方)に動かす働きが障害されます。これが「核上性(かくじょうせい)眼球運動障害」で、病名の由来です。足元・段差・自分の手元が見えにくくなり、つまずきや転倒につながります。
③ 衝動的に立ち上がる:前頭葉の症状から、危険の認識が薄れ、「座っていて」と言われても、ふいに一人で立ち上がってしまう。この衝動性が、後方転倒の引き金になります。

パーキンソン病の「前のめり」とどう違うのか?

パーキンソン病は前傾・前方への突進、PSPは後屈・後方への転倒。方向が逆だからこそ、対策も逆向きに考える必要があります。
たとえばパーキンソン病では、すくみ足に対して「前へ踏み出すきっかけ」を作ります。しかしPSPでは、後ろに倒れる力に備え、「後方の安全確保」と「立ち上がりの抑制・見守り」が中心になります。
また、PSPはパーキンソン病の薬(レボドパ)が効きにくいことが多く、薬だけに頼れません。だからこそ、姿勢・環境・体づくりという「薬以外の手立て」の価値が大きいのです。

後方転倒を防ぐ環境と介助のコツ(家族ができること)

後ろに倒れる前提で、後方と足元の安全を整えること。そして「一人で立たない」習慣づくりが、転倒を大きく減らします。
後方の安全:背もたれ・壁を背にした配置/床に物を置かない/角の保護。
足元の配慮:下が見えにくいので、段差・コード・マットの端をなくす/明るい照明。
立ち上がりの見守り:立つ前に必ず声をかけてもらうルール/手の届く位置に呼び鈴/一人で立たせない。
道具の早めの導入:安定した歩行器や車椅子を、転倒を繰り返す前に検討する。
これらは「自由を奪う」ためではなく、大けがを防いで活動を続けるための工夫です。

訪問施術はPSPの転倒しやすさにどうアプローチするのか?

当相談所が連携する施術者は、後ろに反った首・体幹を整え、座位・立位の土台を立て直して、「転びにくい体」をつくります。
次の順序で進めます。

① 骨格ポジションを整える:後ろに反った首・体幹を徒手的に調整し、重心を体の真ん中に戻していきます。
② 腹圧が入る呼吸をつくる:おなかの内側から支える力(腹圧)が入ると、反り返りが抑えられ、座位・立位の軸が安定します。
③ 固縮をゆるめ、体幹・股関節を働かせる:ファシア(筋・神経・血管を包む結合組織)の連絡を整え、相反抑制でこわばりをゆるめます。関節の役割(足首は動かす・膝は支える・股関節は動かす=ジョイント・バイ・ジョイントの考え方/Boyle・Cookが体系化)を踏まえ、支える土台と動く部分を整理します。
④ 神経の働きを促す:YNSA(山元式新頭針療法/山元敏勝医師が開発)などで神経の働きを促し、姿勢を保つ力を引き出します。
寝かせきりにせず、安全に「座る・支えて立つ」を保つことが、廃用と転倒の両方を防ぎます。

衝動性・「危ないのに立つ」への向き合い方

「危ないと言ったのに立つ」のは、ご本人のわがままや不注意ではなく、前頭葉の症状です。叱るのではなく、環境と習慣で支えてください。
衝動的な行動を意志の力で抑えるのは、PSPのご本人には難しいことです。責めると、ご本人もご家族もつらくなるだけです。
有効なのは、「立ちたくなる前に用事を済ませる」「立つ動作の前に必ず声をかけるルーティン」「手の届く範囲を安全にしておく」といった、環境側の工夫です。行動を変えさせるのではなく、環境を変える――これがPSPの安全対策の基本です。

進行しても、安全と動ける範囲は守れるのか?

進行する病気であっても、姿勢を整え固縮をゆるめる取り組みで、座位の安定や動かせる範囲に変化は起こり得ます。転倒を減らし、廃用を防ぐことには大きな意味があります。
効果には個人差がありますが、反り返りがやわらいで座位が安定すると、介助が楽になり、ご本人の安全も高まります。事例もあります。当相談所は、いまの段階でできることを、ご家族と一緒に組み立てます。

よくあるご質問

Q1. PSPの転倒は、施術で本当に減らせますか? A. 転倒は「体」と「環境」の両方から減らします。施術で反り返った姿勢を整え座位・立位を安定させ、加えて後方・足元の環境を整え、立ち上がりを見守る――この組み合わせで、転倒のリスクは下げられます。効果には個人差があります。
Q2. 下が見えにくいのは、目の病気ですか? A. 目そのものではなく、目を動かす脳の働き(核上性眼球運動障害)の問題です。眼鏡では補えません。足元の段差や物をなくす環境調整が有効です。
Q3. 飲み込みにくくなってきました。 A. PSPでは嚥下障害が進むことがあります。誤嚥を防ぐため、姿勢や食形態の調整が重要です。主治医・言語聴覚士と連携し、施術では座位・姿勢・呼吸の土台を支えます。
Q4. 医療費の助成は受けられますか? A. PSPは国の指定難病です。条件を満たせば医療費助成の対象になる場合があります。主治医や自治体の難病相談窓口にご確認ください。
Q5. 健康保険は使えますか?無料体験では何が分かりますか? A. 訪問の鍼灸・マッサージは、医師の同意書があれば健康保険が使える場合があります(鍼灸とマッサージは別の同意書)。自己負担は1回数百円程度から、出張費は0円です。無料体験では、姿勢や固縮、転倒のリスクを確認し、いまのお体に何ができるかをご説明します。お電話(0120-92-4976)・LINE・お問い合わせフォームから受け付けています。

まとめ|後ろに倒れる病気は「後ろ」と「体の軸」で守る

PSP(進行性核上性麻痺)の転倒は、後ろに反る姿勢・足元が見えにくい目の障害・衝動的に立つ前頭葉症状が重なって起こります。パーキンソン病とは方向が逆だからこそ、後方の安全確保と「一人で立たない」見守り、そして反り返った体の軸を整える施術が効いてきます。叱るのではなく、環境と体の両面から支える――それがPSPの安全を守る道です。
大阪市・東大阪市・八尾市で、PSPのご家族を支えておられる方は、健康保険適用の訪問リハビリマッサージ相談所までご相談ください。鈴木の技術を継承した業務委託施術者をご紹介します。無料体験のお申し込み・ご相談はこちら。よく似た難病については大脳皮質基底核変性症(CBD)多系統萎縮症(MSA)のページもご覧ください。


監修・技術指導:鈴木密正

鈴木密正(鍼灸あん摩マッサージ指圧師/柔道整復師)が、本記事のアプローチを開発・体系化しています。PRI(Postural Restoration Institute)/DNS(Dynamic Neuromuscular Stabilization)/ファンクショナルトレーニング・PNF・YNSA など、機能解剖学・神経筋療法・伝統医療の現代的アプローチを統合し、脳梗塞後の麻痺・廃用症候群・パーキンソン病等の運動機能改善において、骨格→腹圧→体幹→歩行の4ステッププロセスを開発・指導しています。訪問リハビリマッサージ以外にも、東大阪市で治療院兼トレーニング・コンディショニングジムを運営しています(true-function.com)。

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その代わり、鈴木が主催する「訪問リハビリマッサージ施術勉強会」で技術を継承した業務委託施術者をご紹介いたします。同じ4ステッププロセス(骨格→腹圧→体幹→歩行)とYNSAの考え方を学び、現場での実践指導を受けた施術者のみが、同等のアプローチでご訪問いたします。

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