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ボツリヌス療法と訪問リハビリマッサージの併用|注射で緩んでいる間に何をするか

この記事の要点(TL;DR)

  • ボツリヌス療法は、筋肉へ「縮め」と伝わり続けている神経の指令を一時的に弱める注射です。効果は永続せず、数ヶ月単位で繰り返します
  • 注射で変わるのは緊張の量です。動き方は注射では変わりません。緩んだ期間に何を入れるかで、その先が分かれます
  • 長年の緊張で短くなった組織(ファシア)は、注射では戻りません。緩んでいる期間は、この組織の層に手を入れられる貴重な窓です
  • 「注射のたびに元へ戻る」の繰り返しから、「注射のたびに一段上がる」へ。そのための併用設計です

ご注意(必読)

  • 本記事はご本人・ご家族向けの情報提供を目的としています
  • ボツリヌス療法の適応・時期・部位・量はすべて主治医が判断する医療行為です。本記事は治療の可否について助言するものではありません
  • 記載の手技はすべて専門施術者が行うものです。ご自身での再現はお控えください。併用は必ず主治医にご相談のうえ進めてください

ボツリヌス療法とは、何をしている治療なのか?

緊張し続けている筋肉に対して、神経から筋肉へ伝わる「縮め」という指令を、一時的に弱める注射です。一般には製品名から「ボトックス」と呼ばれることが多い治療です。

脳梗塞や脳出血のあとの痙縮——肘が曲がり込む、手指が握り込む、足首が内側へ倒れて突っ張る——は、脳からの指令が過剰に流れ続けている状態です。ボツリヌス療法はこの伝達を注射した筋肉で部分的に遮断し、緊張を落とします。効果は打ってから徐々に現れ、数ヶ月かけて薄れていくため、繰り返し打つのが前提の治療です。適応・部位・量・間隔はすべて主治医が判断します。

まずお伝えしたいのは、この治療を選んだこと自体は前向きな一手だということです。そのうえで、多くのご家族が数回目の注射のあとに同じ疑問を持ちます——「打つと柔らかくなる。でも数ヶ月で元に戻る。これを繰り返すだけでいいのか」。

なぜ「注射だけ」では動きが変わりにくいのか?

注射が変えるのは緊張の量であって、体の使い方は注射では変わらないからです。がっかりされた方の期待が間違っていたのではなく、注射の守備範囲がそこまでなのです。

理由は2層あります。

1層目は組織です。何年も緊張が入り続けた腕や足では、筋肉やその周りの組織が短い位置のまま固まっています。近年のスポーツ医科学・解剖学では、筋・神経・血管・内臓を包んで全身をつないでいる結合組織のネットワークをファシア(fascia)と呼びますが、このファシアが層と層の間で滑らなくなった固さは、神経の指令を止めても残ります。注射後に「柔らかくなったのに、思ったほど伸びない」と感じる部分の正体はここです。痙縮(神経の問題)と拘縮(組織の問題)の見分けについては痙縮と拘縮の違いで詳しく解説しています。

2層目は使い方です。緊張が落ちても、腕の伸ばし方・足のつき方という動きの回路は、注射では作られません。緩んだ状態で何もしなければ、体は今まで通りの使い方を続け、効果が切れる頃には元の形へ引き戻されます。

緩んでいる期間に、何をするのか?

この期間は、普段は緊張にブロックされて手が届かない場所へ届く「開いた窓」です。相談所が連携する施術者は、この窓の間に3つの層へ働きかけます。

①組織の層——ファシアの滑りを取り戻す。緊張が落ちている間は、防御的な固めが起きにくく、層と層の滑りを取り戻す手技が普段より深く進みます。固まっている場所を押すのではなく、関節をまたいでつながる離れた場所から緩めることもあります。

②神経の層——通り道を使わせる。相反抑制(reciprocal inhibition)——主動筋を働かせると反対側の筋肉が緩む反射——を使い、曲げ込む側ではなく伸ばす側の筋肉へ軽い抵抗をかけて働かせます。この、抵抗をかけて神経の通り道を使わせる手法はPNF(固有受容性神経筋促通法)として体系化されています。1940年代に Herman Kabat 医師が開発した手法です。緊張が薬で落ちている期間は、この「伸ばす側の指令」が普段より通りやすい時期にあたります。

③使い方の層——土台から積む。緩んだ腕・足を実際の動作につなげるには、骨格 → 腹圧 → 体幹・骨盤底筋 → 歩行、の順で土台を作ります。背中が丸まり骨盤が倒れた姿勢のままでは、せっかく緩んだ肩も股関節も本来の範囲で使えないからです。状態に応じて、頭部への鍼で全身を整えるYNSA(山元式新頭針療法)——宮崎の山元敏勝医師が開発した手法——を組み合わせることもあります。

施術のタイミングは、どう合わせるのか?

注射の効果が出ている期間に、施術の頻度を確保する形で設計します。効果の出方と持続には個人差があり、治療スケジュールは主治医の管理下にありますので、「いつ打ったか・次はいつか」を共有していただくところから始めます。相談所側の予定を治療の周期に合わせて組み、窓が開いている間の回数を厚くします。

主治医・リハビリ担当医への情報共有もこちらから整理してお渡しできます。「注射と併用して施術を受けたい」とご本人から切り出しにくい場合は、ご相談ください。

「注射を繰り返すだけ」の状態から、どう抜けるのか?

目指す形はシンプルです。注射のたびに同じところへ戻るループを、注射のたびに一段上がる階段に変えること。

効果が切れる頃に元通りなら、その期間の使い方が白紙だったということです。逆に、窓が開いている間に組織の滑りが進み、伸ばす側の指令が通り、土台の姿勢が変われば、効果が薄れたあとに残るものがあります。年数が経ったケースでも、変化は起こり得ます。相談所には事例があります。

よくあるご質問

Q. 家族が記事を読んで、注射のあとに自分でストレッチをさせてもいいですか?

A. お控えください。緊張が薬で落ちている期間は、痛みのサインも出にくくなっており、力任せの伸展で関節や組織を傷めるリスクがかえって上がります。専門施術者の判断なしの自己流アプローチは状態を悪化させる恐れがあります。必ず主治医にご相談のうえ、対応できる専門施術者にご依頼ください。

Q. ボツリヌス療法を受けていなくても、施術は受けられますか?

A. 受けられます。この記事は併用の設計を解説したものですが、注射をしていない方にも同じ3つの層(組織・神経・使い方)で設計します。注射を検討中の方は、まず主治医にご相談ください。

Q. 保険の扱いはどうなりますか?医師の治療と重なっても大丈夫ですか?

A. 訪問リハビリマッサージは医師の同意書にもとづく健康保険(療養費)の施術です。保険の取り扱いは、受けている治療の内容や部位との関係で決まる部分がありますので、いま受けている治療をお聞かせいただければ相談所で整理してお伝えします。ご家族が判断する必要はありません。

Q. 主治医には何と相談すればいいですか?

A. 「注射で緩んでいる期間に、訪問リハビリマッサージを併用したい」とお伝えいただくだけで十分です。同意書の様式や手続きのご案内は、相談所から医療機関へ直接行うこともできます。

Q. 費用はどのくらいですか?

A. 健康保険適用で、1回あたりの自己負担は数百円程度〜が目安です。対応エリア内であれば出張費・交通費はかかりません。詳しくは訪問鍼灸は健康保険で受けられるのか|同意書・費用・対象になる症状をご覧ください。

Q. どのエリアに来てもらえますか?

A. 大阪市(東成区・城東区・鶴見区)、東大阪市、八尾市へお伺いしています。

ご相談ください

大阪市(東成区・城東区・鶴見区)・東大阪市・八尾市で、痙縮のボツリヌス療法を受けている・検討しているご本人・ご家族は、健康保険適用の訪問リハビリマッサージ相談所までご相談ください。次の注射の予定が決まっているなら、その窓が開く前に設計を始めるのが最も効率の良いタイミングです。

監修・技術指導:鈴木 密正

鈴木 密正(鍼灸あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師)が、本記事のアプローチを開発・体系化しています。

PRI(Postural Restoration Institute)/DNS(Dynamic Neuromuscular Stabilization)/ファンクショナルトレーニング・PNF(固有受容性神経筋促通法)・YNSA(山元式新頭針療法)など、機能解剖学・神経筋療法・伝統医療の現代的アプローチを統合し、脳梗塞後の麻痺・廃用症候群・パーキンソン病等の運動機能改善において、骨格 → 腹圧 → 体幹・骨盤底筋 → 歩行の4ステッププロセスを開発・指導しています。

訪問リハビリマッサージ以外にも、東大阪市で治療院兼トレーニング・コンディショニングジムを運営しています(true-function.com)。

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代表の鈴木は、既存のご利用者様への対応で予約が満杯のため、訪問リハビリマッサージの新規対応は停止しております。

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その代わり、鈴木が主催する「訪問リハビリマッサージ施術勉強会」で技術を継承した業務委託施術者をご紹介いたします。同じ4ステッププロセスを学び、現場での実践指導を受けた施術者のみが、同等のアプローチでご訪問いたします。

訪問リハビリマッサージ相談所/〒577-0056 大阪府東大阪市長堂1-8-28-1309/フリーダイヤル 0120-92-4976(9:00〜20:00・日曜・祝日定休)

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