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脳梗塞後、ふくらはぎが突っ張る・足がガクガク震える(クローヌス)|押さえるほど強くなる理由
この記事の要点(TL;DR)
- 足首のガクガクは「固いから揉む・押さえる」で止めに行くほど強くなります。緩める入口はふくらはぎではなく、反対側(すねの前の筋)と体重の位置にあります
- 正体はクローヌスという反射の暴走です。腱が急に伸ばされるたびに勝手に縮む反射の繰り返しで、ご本人の気の持ちようではありません
- 引き金は「つま先に体重が乗る」「足首が急に反らされる」の2つ。震えた瞬間は踵を下ろし、膝を軽く曲げるだけで収まりやすくなります
- 放置すると反射の回路が強まり、ふくらはぎは短く固いまま尖足へ向かいます。踵がつく今のうちに手を入れる価値があります
ご注意(必読)
- 本記事はご本人・ご家族向けの情報提供を目的としています
- 記載のアプローチはすべて専門施術者が行う手技です。ご自身での再現はお控えください
- ふくらはぎの突っ張りや震え、痙縮を抑える薬・注射・装具については、必ず主治医・リハビリ担当医にご相談のうえ、対応できる専門施術者にご依頼ください
ふくらはぎの突っ張りと「ガクガク」の正体は何か?
立ち上がった瞬間に、麻痺側の足首がガクガクと震えて止まらない。階段やフットレストに足を乗せたとき、夜中の布団の中で。ご家族が手で押さえると、収まるどころか余計に強くなる。ふくらはぎは板のように固く、触っても弾力がない。脳梗塞のあとの麻痺側で、よく見られる訴えです。
この震えはクローヌス(clonus)と呼ばれます。ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)が急に引き伸ばされると、筋肉の中の「伸びを感じるセンサー(筋紡錘)」が反応し、反射的に縮めます。脳梗塞のあとは、脳からこの反射を抑える指令が届きにくくなっています。抑えが外れた反射は、縮む→縮んだ分だけまた伸ばされる→また縮む、を繰り返す。これがガクガクの正体で、脳の損傷に由来するサイン(上位運動ニューロン徴候)です。
つまりガクガクは、ふくらはぎが勝手に暴れているのではなく、急に伸ばされるたびに、抑えの外れた反射が正直に応えているだけです。
なぜ「押さえる・揉む・伸ばす」ほど強くなるのか?
反射の入口が「伸ばされること」だからです。震えている足を上から押さえる、固いふくらはぎを強く揉む、突っ張った足首をぐいっと反らす——どれも善意の対応ですが、反射から見ればすべて「もっと伸ばす刺激」です。押さえるほど強くなるのは、押さえ方が下手なのではなく、入口に向かって力を足しているからです。ご本人が力んで止めようとするのも同じで、麻痺側で力むと全身がひとかたまりで縮む共同運動パターンが出て、緊張はさらに上がります。注意力や気の持ちようの問題ではなく、反射の仕組みがそうなっているのです。
ご家族が今まで足を押さえてこられたなら、それは間違いではありません。目の前で震えている足を、押さえずにいられる人はいません。ただ今日からは、押さえる代わりに、伸ばす刺激を減らす方向へ切り替えていただければ十分です。
震えを放置すると、何が起きるのか?
クローヌスそのものは、直ちに危険な症状ではありません。ただ、出るたびに積み上がるものがあります。
- 反射の回路が強化される——震えるたびに反射の通り道が「使われ」て太くなり、わずかな刺激で走るようになります
- ふくらはぎが短いまま定着する——縮んだ状態が続くと、筋肉と結合組織(ファシア)が短い長さで固まります。脳から来る緊張(痙縮)の上に、組織の固さ(拘縮)が乗る段階です。見分け方は痙縮と拘縮の違いで解説しています
- 踵がつかなくなる(尖足)——短くなったふくらはぎに引かれて足首が下を向いたまま戻らなくなり、立位・歩行の土台が崩れます。この先は尖足と麻痺パターンの解除にまとめました
踵がつくうちに手を入れる方が、はるかに近道です。
どこから手をつけるのか?——ふくらはぎではなく、反対側と土台から
順番は3つです。
1つ目は反対側の筋肉を働かせること。ある筋肉が働くと、その反対側の筋肉は自動的に緩みます(相反抑制)。すねの前の筋肉(前脛骨筋。足首を上げる筋)を働かせれば、ふくらはぎは反対から緩みます。これが入口です。
2つ目は体重を踵に戻すこと。つま先に体重が乗った状態は、それ自体がふくらはぎを引き伸ばし続ける刺激です。踵に体重が落ちる立ち方・座り方を作ると、引き金そのものが減ります。
3つ目が土台です。体幹の支えが抜けていると、体は倒れないために末端の筋肉を固めて踏ん張ろうとします。ふくらはぎが板のように固い背景には、多くの場合この「土台の代わりに末端で支えている」状態があります。骨格の位置を整え、おなかの内側から体を支える力(腹圧)が入る条件を作ると、末端で踏ん張る必要が減り、過緊張が下がります。順番は土台から——骨格 → 腹圧 → 体幹・骨盤底筋 → 歩行の4ステップです。
相談所が連携する施術者は、どう設計するのか?
まず骨格の位置を整え、腹圧が入る状態をつくり、体幹と骨盤底筋を働かせてから、立位・歩行の局面へ進みます。そのうえで、クローヌスには次の手順で働きかけます。
最初に、麻痺側に居座っている反射パターンを解除します。緊張が脳から来ている分(痙縮)と、組織が短く固まった分(拘縮)を分けて見るところからです。次に相反抑制(reciprocal inhibition)——前脛骨筋へ軽い抵抗をかけて働かせ、突っ張っているふくらはぎ側を反対から緩めます。この、抵抗をかけて神経の通り道を使わせる手法はPNF(固有受容性神経筋促通法)として体系化されています。
それでも残る固さは、組織側の問題です。縮んだまま過ごした期間が長いと、筋・神経・血管を包んで全身をつないでいる結合組織——ファシア(fascia)——が層と層の間で滑らなくなっています。ここを徒手で解き、踵から地面につける条件を作ります。
緊張の出どころが中枢側にあるケースでは、状態に応じてYNSA(山元式新頭針療法)——山元敏勝医師が開発した、頭部への鍼によって全身の状態を整える手法——を組み合わせます。
家でできる範囲と、やってはいけないこと
ご家族にお願いしたいのは、震えを止めることではなく、伸ばす刺激を減らすことです。
- 震えた瞬間は、踵を下ろす——立位なら踵に体重を落とす。座位なら足裏全体を床につける。フットレストや段で震えたら、いったん足を浮かせて置き直す
- 膝を軽く曲げる——ふくらはぎの筋肉は膝の裏をまたいでいます。膝を軽く曲げると張りが抜け、反射の入口が閉じます
- 強く押し返さない・強く揉まない・ぐいっと反らさない——どれも反射を煽ります。触っていい範囲はご家族が触っていい範囲と、危ない触り方に、避けるべき対応はやってはいけない6つのNGにまとめています
ひとつだけ、施術より先に医師へ、という場面があります。ふくらはぎに痛み・熱感・腫れを伴う場合は、深部静脈血栓症などの可能性もあるため、押さえたり揉んだりせず、主治医にご相談ください。震えや突っ張りが急に強くなった場合も同様です。
よくあるご質問
Q. 夜中に足がガクガクして眠れません。家族はどうすればいいですか?
A. 押さえずに、膝の下にクッションを入れて膝を軽く曲げ、布団の重みが足首を反らせないよう足元に空間を作ってください。夜間の震えが続くなら、日中に反射と組織の固さを落とす設計が必要です。
Q. 発症から何年も経っています。今さら震えは変わりますか?
A. 年数が経ったケースでも変化は起こり得ます。相談所には事例があります。反射の回路と、年数で積み上がった組織の固さ(ファシア)は、今からでも働きかけられる層です。「固まっているから仕方ない」で終わらせません。
Q. 病院の訪問リハビリテーションや通所のリハビリと併用できますか?
A. 併用されている方が多くいらっしゃいます。相談所側は土台(骨格・腹圧・体幹)と、反射・組織の固さの解除を担います。震えの引き金が減ると、療法士の歩行練習も乗りやすくなります。重ならない形で設計します。
Q. 痙縮を抑える薬や注射(ボツリヌス療法)を受けています。施術は受けられますか?
A. 受けられます。薬や注射で緊張が下がっている期間は、組織の固さと体重の受け方に手を入れる好機です。続けるか、量を変えるかの判断は必ず主治医が行います。詳しくはボツリヌス療法との併用をご覧ください。
Q. 健康保険で受けられますか?
A. 健康保険適用の訪問リハビリマッサージとしてお受けいただけます。1回あたりの自己負担は数百円程度〜が目安で、対応エリア内であれば出張費・交通費はかかりません。適用には医師の同意書が必要で、取得手続きは相談所が代行サポートいたします。
Q. どのエリアに来てもらえますか?
A. 大阪市(東成区・城東区・鶴見区)、東大阪市、八尾市へお伺いしています。
ご相談ください
相談所が震えを「固いから揉む」で終わらせないのは、震えが反射の暴走であり、揉んで止まる種類のものではないと分かっているからです。止めに行くのではなく、出ない条件を作る。踵がつき、立てて、歩けている今は、その条件を作りやすい時期です。
大阪市(東成区・城東区・鶴見区)・東大阪市・八尾市で、麻痺側のふくらはぎの突っ張りや足首の震えにお困りのご本人・ご家族は、健康保険適用の訪問リハビリマッサージ相談所までご相談ください。どの場面で震えが出るのか、踵がどこまでつくのかを実際に拝見し、反対側の筋と体重の位置と土台から、震えの出ない条件を設計します。
監修・技術指導:鈴木 密正
鈴木 密正(鍼灸あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師)が、本記事のアプローチを開発・体系化しています。
PRI(Postural Restoration Institute)/DNS(Dynamic Neuromuscular Stabilization)/ファンクショナルトレーニング・PNF(固有受容性神経筋促通法)・YNSA(山元式新頭針療法)など、機能解剖学・神経筋療法・伝統医療の現代的アプローチを統合し、脳梗塞後の麻痺・廃用症候群・パーキンソン病等の運動機能改善において、骨格 → 腹圧 → 体幹・骨盤底筋 → 歩行の4ステッププロセスを開発・指導しています。
訪問リハビリマッサージ以外にも、東大阪市で治療院兼トレーニング・コンディショニングジムを運営しています(true-function.com)。
鈴木自身はご訪問できません
代表の鈴木は、既存のご利用者様への対応で予約が満杯のため、訪問リハビリマッサージの新規対応は停止しております。
「訪問リハビリマッサージ施術勉強会」で技術を継承した施術者がご訪問します
その代わり、鈴木が主催する「訪問リハビリマッサージ施術勉強会」で技術を継承した業務委託施術者をご紹介いたします。同じ4ステッププロセスを学び、現場での実践指導を受けた施術者のみが、同等のアプローチでご訪問いたします。
訪問リハビリマッサージ相談所/〒577-0056 大阪府東大阪市長堂1-8-28-1309/フリーダイヤル 0120-92-4976(9:00〜20:00・日曜・祝日定休)