大腿骨骨折後の訪問リハビリマッサージ|脚の長さの変化に負けない、股関節重心の立ち方・歩き方

大腿骨骨折後に「歩けなくなる」本当の理由

大腿骨骨折は、高齢者が転倒した際に最も多く発生する骨折の一つです。手術により骨自体は固定されますが、その後に「歩けなくなった」「以前のように立てない」という状態が続く方が非常に多くいらっしゃいます。

歩けなくなる原因は骨折そのものだけではありません。手術によって脚の長さが変わること、そして安静期間中に中殿筋や外旋六筋が著しく弱ることが、立ち座りや歩行を困難にする主な原因です。

病院のリハビリでは「ただ立って歩く練習」のみに終始することが多く、こうした根本的な問題にアプローチできないまま退院を迎えてしまうケースが少なくありません。当相談所では、大腿骨骨折後の方に対して、根本原因にアプローチする専門的な施術を提供しています。

手術後の体に起こっている変化

脚長差(脚の長さの違い)

大腿骨骨折の手術後、多くの場合で脚の長さに左右差が生じます。わずか数ミリの差でも、骨盤の傾きに影響し、歩行パターン全体に変化をもたらします。体は無意識にこの左右差を補正しようとしますが、その代償動作が新たな痛みや機能低下を引き起こします。

中殿筋・外旋六筋の機能低下

手術後の安静期間中、股関節周りの筋肉、特に中殿筋(骨盤の横を支える筋肉)と外旋六筋(股関節の深層にある6つの筋肉)が急速に弱ります。これらの筋肉は立位時に骨盤を安定させ、歩行時に片足立ちのバランスを保つ役割を担っています。

これらが機能しないと、立ち上がる時に踏ん張りが効かない状態になります。椅子から立つのに手すりや介助が必要になるのは、脚の筋力全体が落ちたからではなく、この深層筋の機能低下が主な原因です。

当相談所の3ステップアプローチ

ステップ1:モビリティを出して股関節を動かしやすくする

まず股関節周りのモビリティ(可動性)を回復させます。手術後は瘢痕組織や筋膜の癒着により股関節の動きが制限されています。アクティブリリーステクニックを用いて、癒着を丁寧に剥がし、股関節が本来の可動域を取り戻せるようにします。

この段階で無理に動かすのではなく、痛みの出ない範囲で少しずつ可動域を広げていくことが重要です。

ステップ2:外旋六筋・中殿筋後部繊維のアクティベーション

可動域が回復してきたら、外旋六筋と中殿筋後部繊維のアクティベーション(活性化)を行います。これらの筋肉は「使い方を忘れている」状態であり、単に力を入れようとしても正しく収縮しません。

PNF(固有受容性神経筋促通法)の技術を応用し、施術者が適切な抵抗と誘導を行うことで、脳と筋肉の神経回路を再構築します。「力を入れる」のではなく「力の入れ方を思い出させる」アプローチです。

ステップ3:股関節に重心を乗せる形を誘導して立つ

筋肉の機能が回復してきたら、いよいよ股関節重心での立位を獲得します。多くの方が膝に重心を置いて立とうとしますが、これでは大腿四頭筋に過度な負担がかかり、長時間の立位や歩行が困難です。

股関節から体を倒し、殿筋とハムストリングスに体重を乗せて立つパターンを、施術者が手で誘導しながら体に覚えさせていきます。この立ち方ができると、踏ん張りが効くようになり、安定した歩行への道が開けます。

90歳でも変化は生まれる

「年齢的にもう無理では」と思われる方もいらっしゃいますが、当相談所では90歳で認知症があり、両足とも大腿骨骨折を経験された方でも、立つことができるようになった実例があります。

立てるようになった時の変化は劇的です。これまで天井しか見えなかった方の視線が変わり、部屋の様子が見える、窓の外が見える。この視覚的な変化が脳への刺激となり、表情が豊かになり、コミュニケーションが改善するケースも少なくありません。

再骨折を防ぐための股関節重心

大腿骨骨折後に最も注意すべきなのが再骨折です。特に膝重心で立ち座りをしている方は、バランスを崩して尻もちをつきやすく、再骨折のリスクが高まります。

股関節重心の立ち座り方法を身につけることで、殿筋に体重が乗った安定した動作が可能になり、尻もちによる再骨折のリスクを大幅に低減できます。当相談所では、この立ち座り動作の改善を施術の重要な柱として位置づけています。

大腿骨骨折後の歩行にお悩みの方、退院後のリハビリに不安を感じている方は、まずはお気軽にご相談ください。