大腿骨骨折後の再骨折を防ぐ|転倒しない体づくりと在宅での安全な立ち座り動作

大腿骨骨折後に最も怖いのは「再骨折」

大腿骨骨折を経験された方にとって、最大のリスクは再骨折です。一度骨折した側はもちろん、反対側の大腿骨を骨折してしまうケースも少なくありません。再骨折は、寝たきりへの直接的な原因となる深刻な事態です。

再骨折の多くは、立ち座り動作の際にバランスを崩して尻もちをつくことで発生します。特に膝重心(膝を前に出す立ち方)をしている方は、重心が不安定になりやすく、転倒リスクが高い状態です。

当相談所では、再骨折を防ぐための根本的なアプローチとして、股関節重心の立ち座り動作の習得と、転倒しない体づくりを訪問リハビリマッサージの中核に据えています。

なぜ「尻もち」で再骨折するのか

大腿骨骨折の手術後、多くの方が無意識に行っている立ち座りの動作を観察すると、膝を前に突き出して立ち上がろうとするパターンが見られます。この動作では、太ももの前面(大腿四頭筋)だけに頼ることになり、殿筋が機能しません。

座る時も同様で、膝重心のまま腰を落とすと、最後のところでストンと尻もちをつくように着座してしまいます。この衝撃が大腿骨の骨頭部や頸部に集中し、骨密度が低下した高齢者の骨では再骨折を引き起こす危険があります。

股関節重心の立ち座りで再骨折を防ぐ

当相談所が指導する股関節重心の立ち座り動作は、再骨折リスクを大幅に低減する方法です。

立ち上がりの正しい方法

椅子から立つ時、まずおじぎをするように股関節から体を前に倒します。この時、膝ではなくお尻と太ももの裏側に体重が乗る感覚があります。その状態から殿筋の力で体を持ち上げるように立ちます。

この動作のポイントは、膝を足先より前に出さないことです。股関節を起点にすることで、殿筋とハムストリングスが正しく機能し、安定した力強い立ち上がりが可能になります。

座る時の正しい方法

座る時は、立ち上がりの逆です。股関節から体を後ろに引くように、ゆっくりと腰を下ろします。殿筋がブレーキの役割を果たし、衝撃なく着座できます。尻もちをつくのではなく、コントロールされた動作で座ることが再骨折防止の核心です。

転倒しない体をつくる3つの要素

要素1:殿筋・ハムストリングスの強化

立位と歩行の安定性を支える殿筋とハムストリングスの機能回復が最優先です。大腿骨骨折後はこれらの筋肉が著しく弱っているため、段階的なアクティベーションと強化を行います。

当相談所では、PNF(固有受容性神経筋促通法)を活用し、施術者が適切な抵抗を加えながら筋肉の再活性化を図ります。ただ力を入れるのではなく、正しいタイミングで正しい筋肉が働くパターンを体に覚えさせていきます。

要素2:体幹の安定性と腹圧

下肢の筋力だけでは転倒は防げません。体幹の安定性が確保されて初めて、下肢の筋力が歩行に活きてきます。当相談所では、Zone of Apposition(ZOA)の概念に基づき、横隔膜と骨盤底筋の協調を回復させ、腹圧を適切に入れられる状態を作ります。

腹圧が入ると背骨が内側から支えられ、体幹が一つのユニットとして安定します。この安定性があってこそ、歩行時の動的バランスが保たれるのです。

要素3:足裏のセンサー機能

転倒防止の最後のピースが、足裏の固有受容感覚です。足裏には体の傾きや地面の状態を感知するセンサーが豊富にあり、これが瞬時のバランス調整を可能にしています。

大腿骨骨折後は長期間の安静や歩行制限により、足裏のセンサー機能が低下しています。足裏への適切な刺激と足首の可動域回復を通じて、地面をしっかり感じて踏める足を取り戻します。

在宅環境の安全対策

体づくりと並行して、在宅環境の安全対策も重要です。当相談所の施術者は訪問時にご自宅の環境も確認し、転倒リスクの高い場所についてアドバイスを行います。

よく見落とされるポイントとして、トイレの立ち座り、浴室の出入り、夜間のトイレ動線などがあります。これらの場面で股関節重心の動作を実践することが、日常生活全体の安全性を高めます。

ご家族にお伝えしたいこと

大腿骨骨折後のケアで、ご家族に最もお伝えしたいのは、「過度に手を出しすぎない」ことです。転倒が怖いからと常に支えていると、ご本人の自立を妨げ、かえって筋力低下を招きます。

一方で、不十分な見守りでの転倒は再骨折のリスクがあります。このバランスを取るために、施術者が訪問時にご本人の現在の能力を正確に評価し、「ここまでは一人でできる」「この動作は見守りが必要」という具体的な線引きをお伝えします。

大腿骨骨折後の再骨折を防ぎ、安全で自立した在宅生活を支えること。それが当相談所の訪問リハビリマッサージの使命です。まずはお気軽にご相談ください。