多発性硬化症(MS)のリハビリと日常生活の工夫

MSのリハビリテーションの重要性

多発性硬化症のリハビリテーションは、再発後の機能回復と、寛解期の機能維持の両面で重要な役割を果たします。適切な運動プログラムにより、筋力・持久力の維持、疲労の軽減、うつ症状の改善、QOLの向上が期待できます。

リハビリの基本原則

原則 内容
体温管理 体温上昇を避ける(ウートフ現象予防)、涼しい環境で実施
疲労管理 休憩を頻繁に取る、午前中の比較的元気な時間に実施
段階的負荷 低強度から開始し、徐々に負荷を増やす
柔軟な調整 日々の体調に合わせて内容・強度を変更
継続性 短時間でも毎日続けることが重要

自宅でできるリハビリメニュー

有酸素運動

室内での固定式自転車こぎや、涼しい時間帯のウォーキングが推奨されます。運動強度は会話ができる程度(最大心拍数の40〜60%)とし、1回15〜30分を目安に週3〜5回行います。クーリングベストの着用も体温上昇予防に有効です。

筋力トレーニング

自重やゴムバンドを使った低〜中強度の筋力トレーニングが効果的です。大筋群(大腿四頭筋、臀筋、体幹筋)を中心に、各種目10〜15回を2〜3セット行います。疲労を感じたら無理せず休憩を取りましょう。

ストレッチと痙縮管理

痙縮のある筋肉を中心に、1日2〜3回のストレッチを行います。特にふくらはぎ、ハムストリングス、股関節内転筋のストレッチが重要です。温水プールでのストレッチは水圧による痙縮緩和効果もあり有効ですが、水温は30度以下が推奨されます。

日常生活のエネルギー保存法

場面 工夫
家事 座ってできる作業は座って行う。重い掃除機→軽量タイプに変更
料理 まとめて作り置き。電子レンジ活用。座って調理
入浴 シャワーチェア使用。ぬるめの湯温(38度以下)
買い物 ネットスーパー活用。カート使用。涼しい時間帯に
仕事 こまめな休憩。デスクワーク中心に調整。在宅勤務の活用

再発時の対応

新しい神経症状が出現したり、既存の症状が24時間以上悪化した場合は再発の可能性があります。速やかに主治医に連絡し、必要に応じてステロイドパルス療法を受けましょう。再発中は安静を基本とし、回復後に段階的にリハビリを再開します。感染症や過度のストレスは再発の誘因となるため、日頃から予防に努めることが大切です。

よくある質問(FAQ)

Q. MSでも仕事を続けられますか?

A. 多くの方が就労を継続しています。職場との調整(時短勤務、在宅勤務、業務内容の見直し等)により、働きながら治療を続けることが可能です。障害者雇用制度や就労支援サービスの活用も検討してください。

Q. 妊娠・出産は可能ですか?

A. はい、可能です。妊娠中は再発率が低下する傾向がありますが、出産後に再発リスクが一時的に上昇します。主治医と相談の上、計画的に進めることが推奨されます。

監修者情報

本記事は、訪問リハビリマッサージの臨床経験を持つ専門家が監修しています。個別の症状については、必ず主治医にご相談ください。