変形性股関節症の痛みの本質
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減ることで痛みや動きの制限が生じる疾患です。歩行時の股関節の痛み、あぐらがかけない、靴下が履きにくいなど、日常生活に大きな支障をきたします。
しかし当相談所では、軟骨のすり減りだけが痛みの原因ではないと考えています。大腿骨頭(太ももの骨の頭部分)と臼蓋(骨盤側の受け皿)の位置関係が崩れていることが、軟骨への不均等な圧力を生み、すり減りを加速させているのです。
この位置関係を正しく整える――つまり関節のセントレーション(求心位)を回復させることが、当相談所のアプローチの核心です。
関節のセントレーションとは
関節のセントレーションとは、関節を構成する骨同士が最も適切な位置関係にある状態のことです。股関節でいえば、大腿骨頭が臼蓋の中心にぴったりと収まっている状態です。
セントレーションが保たれた状態では、関節面全体で均等に荷重が分散されるため、軟骨への局所的な圧力が最小限に抑えられます。しかし多くの変形性股関節症の方は、このセントレーションが崩れており、骨頭が臼蓋の中で偏った位置にあります。その結果、特定の部分に荷重が集中し、軟骨のすり減りが進行するのです。
なぜセントレーションが崩れるのか
臼蓋形成不全
変形性股関節症の方には、臼蓋が浅い(臼蓋形成不全)という骨の構造的な特徴を持つ方が多くいらっしゃいます。臼蓋が浅いと、大腿骨頭のカバー率が低く、安定性が不足するため、セントレーションが崩れやすくなります。
仙骨のミューテーション
骨盤の中心にある仙骨の位置異常(仙骨ミューテーション)も、セントレーションの崩れに大きく関与します。仙骨の位置がずれると骨盤全体の傾きが変わり、臼蓋の向きが変化するため、大腿骨頭との適切な位置関係が保てなくなります。
多くの場合、仙骨ミューテーションにより骨盤が過度に前傾し、その結果腰椎が過前弯(反り腰)になっています。この姿勢パターンが、股関節の前方への圧力を高め、痛みを引き起こします。
当相談所のアプローチ
理想ポジションへの誘導
まず骨盤と仙骨の位置を理想的なポジションに誘導します。過前傾した骨盤をニュートラルに近づけ、仙骨の位置異常を改善することで、臼蓋の向きが正され、大腿骨頭との位置関係が改善されます。
この誘導には、アクティブリリーステクニックによる筋膜リリースと、施術者の手による穏やかな骨盤の調整を組み合わせます。
骨盤底筋→内転筋ラインのアクティベーション
骨盤のポジションが整ったら、骨盤底筋から内転筋へのラインを活性化させます。このラインは、股関節を内側から安定させる重要な機能を持っています。
骨盤底筋が正しく収縮すると、連動して内転筋が機能し、大腿骨頭を臼蓋の中に求心的に引き込む力が生まれます。これがセントレーションの回復につながるのです。
スタビリティとモビリティのモーターコントロール
セントレーションが回復しても、動作の中でそれを維持できなければ意味がありません。そこでモーターコントロール(運動制御)のトレーニングを行います。
ジョイント・バイ・ジョイント・コンセプトに基づき、股関節のモビリティを確保しながら、同時に関節の安定性(スタビリティ)も維持するという、相反する二つの要素を両立させる動作パターンを学習します。
大腿骨骨折術後とほぼ同じアプローチ
実は変形性股関節症のアプローチは、大腿骨骨折術後のアプローチとほぼ同じです。どちらも股関節周りの筋機能回復と、正しい荷重パターンの獲得が核心だからです。
股関節のモビリティを確保し、外旋六筋・中殿筋後部繊維を活性化し、股関節重心で体を支える。この流れは共通しています。違いは、変形性股関節症ではセントレーションの改善と骨盤アライメントの修正により重点を置く点です。
手術前の方にこそ知ってほしいこと
変形性股関節症で人工関節手術を勧められている方も多いと思います。手術は確かに有効な選択肢ですが、手術の前にできることがあることを知っていただきたいのです。
関節のセントレーションを整え、骨頭と臼蓋の摩擦を減らすことで、痛みが軽減し、手術を先延ばしにできるケースがあります。また、仮に手術を選択する場合でも、術前に筋機能を回復させておくことで術後の回復が早くなるというメリットもあります。
変形性股関節症の痛みでお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。姿勢改善・転倒防止・歩行によるQOL向上の3本柱で、あなたの股関節を守ります。




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