脊髄小脳変性症の構音障害と嚥下障害|話す力と食べる力を守る訪問施術

話すことと食べることが難しくなる

脊髄小脳変性症が進行すると、口や舌の動きの協調性も低下し、構音障害(ろれつが回りにくくなる)や嚥下障害(飲み込みが難しくなる)が現れることがあります。

話す力が衰えると、ご家族や周囲とのコミュニケーションが困難になり、社会的な孤立感が深まります。食べる力が衰えると、誤嚥性肺炎のリスクが高まり、十分な栄養摂取も難しくなります。これらの機能を少しでも長く維持することは、生活の質に直結する重要なケアです。

構音障害への呼吸からのアプローチ

明瞭に言葉を発するためには、十分な呼気の力と、口腔・舌・喉頭の筋肉の協調的な動きが必要です。脊髄小脳変性症では、これらの協調が乱れることで、声が不安定になったり、言葉が不明瞭になったりします。

当院では、まず発声の基盤となる呼気の力を維持するため、胸郭の柔軟性確保と横隔膜の機能改善に取り組みます。Zone of Apposition(ZOA)に基づいた呼吸改善は、十分な呼気を確保し、安定した発声を支えます。

頸部と口腔周りの柔軟性を維持する

構音と嚥下の両方に関わるのが、頸部と口腔周りの筋肉の柔軟性です。これらの筋肉が固くなると、舌の動きが制限され、喉頭の挙上が不十分になり、構音も嚥下も困難になります。

当院では、頸部の筋膜リリースと口腔周囲筋の柔軟性維持に丁寧に取り組んでいます。アクティブリリーステクニックで深層の筋膜の癒着を解消し、筋肉が本来の滑らかな動きを取り戻せるようにします。

嚥下の安全性を高める姿勢づくり

嚥下の安全性は、食事時の姿勢に大きく影響されます。体幹が不安定でふらつきがあると、飲み込みのタイミングを合わせることが難しくなり、誤嚥のリスクが高まります。

当院では、食事時に安定した座位が保てるよう、体幹の安定性向上に取り組みます。腹圧による体幹の内側からの支えと、殿筋による骨盤の安定化を図ることで、座位でのバランスが改善されます。座位が安定すれば、嚥下に必要な筋肉の協調も発揮しやすくなります。

神経の可塑性を活用する

脊髄小脳変性症は小脳の機能低下が主な原因ですが、脳には他の領域で機能を代償する可塑性が備わっています。繰り返しの適切な刺激により、残された神経回路を強化し、失われた機能の一部を補うことが可能です。

当院では、YNSAによる中枢神経系への刺激と、末梢からの感覚入力を組み合わせた多方向からのアプローチで、神経の可塑性を最大限に引き出すことを目指しています。

話す喜びと食べる喜びを守る

当院では、姿勢改善・転倒防止・歩行によるQOL向上の3本柱を基本に、脊髄小脳変性症の方の構音・嚥下機能の維持にも力を入れています。話すことと食べること——この人間にとって基本的な喜びを、少しでも長く守るために全力でサポートいたします。お気軽にご相談ください。