くも膜下出血後のリハビリ|開頭手術後の回復プロセスと意欲を取り戻す身体アプローチ

開頭手術を乗り越えた後に待つ「もう一つの闘い」

くも膜下出血の治療では、多くの場合、開頭手術によるクリッピングやコイル塞栓術が行われます。命を救うための手術ですが、術後の回復過程は決して平坦ではありません。

特に深刻なのが、術後の感染症や合併症により複数回の手術が必要になるケースです。手術のたびに全身麻酔を受け、長期間の安静を強いられ、身体は弱り、精神的にも追い詰められていきます。「もう私はいいんだ」「これ以上頑張れない」と、リハビリへの意欲を完全に失ってしまう方も少なくありません。

当相談所では、こうした困難な状況にある方にこそ、訪問リハビリマッサージの力が必要だと考えています。

意欲低下のメカニズムを理解する

くも膜下出血後の意欲低下は、単なる「気持ちの問題」ではありません。脳のダメージによるアパシー(意欲の神経学的な障害)と、度重なる手術や長期入院による心理的な疲弊が複合的に絡み合っています。

周囲から「もっと頑張って」「リハビリしないと良くならないよ」と励まされても、ご本人の中では頑張るためのエネルギーそのものが枯渇している状態です。このような方に精神論でアプローチしても効果は限定的であり、むしろ追い詰めてしまうリスクがあります。

だからこそ当相談所では、「体から心を動かす」アプローチを大切にしています。

身体アプローチが意欲を呼び覚ます理由

人間の体と心は密接につながっています。長期間動かさなかった体が少しでも動くようになると、脳は新しい感覚入力を受け取り、神経の可塑性が活性化されます。

当相談所では、まずYNSA(山元式新頭針療法)で神経系にアプローチし、脳の覚醒度を高めることから始めます。その上で、アクティブリリーステクニックによる筋膜リリースとPNFを組み合わせ、体に動きの変化を生み出します。

「動かなかった指が少し動いた」「立ち上がる時の感覚が変わった」――こうした体の小さな変化が、「もしかしたら良くなるかもしれない」という希望の芽を生みます。この体験の積み重ねが、失われていた意欲を少しずつ取り戻す原動力になるのです。

くも膜下出血後の回復プロセス

第1段階:身体の土台を整える

長期入院で全身が弱っている状態からのスタートでは、まず関節可動域の回復と全身の循環改善が優先されます。寝たきり状態が長い方は筋膜の癒着が全身に及んでいるため、ソフトなリリースで動きの土台を作ります。

同時に、呼吸と腹圧のアプローチも行います。正しい呼吸パターンを回復させることで、体幹の安定性と全身の酸素供給が改善し、体のエネルギーが戻り始めます。

第2段階:座位・立位の獲得

関節が動くようになったら、座位の安定から取り組みます。ベッド上での座位が安定したら、端座位(ベッドの端に座る)、そして立位へと段階的に進めます。

この過程で重要なのが股関節重心の考え方です。膝ではなく股関節から体を支える感覚を身につけることで、安定した立位が可能になります。

第3段階:歩行と生活動作の改善

立位が安定したら、歩行練習に進みます。足裏のセンサー(固有受容感覚)を活性化させながら、地面をしっかり踏んで歩ける状態を目指します。歩行が改善されると行動範囲が広がり、生活の質が大きく変わります

高次脳機能障害がある場合の施術上の工夫

くも膜下出血後に高次脳機能障害を合併している場合、施術にも特別な配慮が必要です。当相談所の施術者は以下のような工夫を行います。

注意障害がある方には、施術環境からの余計な刺激(テレビの音、人の出入り)を減らし、一つの動作に集中できる環境を整えてから施術に入ります。

記憶障害がある方には、毎回の施術で同じ流れ・同じ声かけを心がけ、安心感のあるルーティンを構築します。施術内容が体に馴染むことで、意識せずとも正しい動作パターンが定着していきます。

感情のコントロールが難しい方には、急な怒りや興奮があっても動じず、一定のペースを保ちます。経験豊富な施術者だからこそできる、冷静で一貫した対応が信頼関係の構築につながります。

あきらめない施術で、可能性を最大限に引き出す

くも膜下出血は確かに重篤な疾患です。しかし、適切なアプローチを継続することで、回復は着実に進みます。当相談所では、ジョイント・バイ・ジョイント・コンセプトに基づき、姿勢改善・転倒防止・歩行によるQOL向上の3本柱で、ご本人の可能性を最大限に引き出す施術を行います。

「もう無理かもしれない」と感じている方にこそ、私たちの施術を届けたいと考えています。まずはお気軽にご相談ください。