脊髄損傷後の生活を支える訪問施術|座位バランスと上肢機能の改善

座れることが生活の幅を広げる

脊髄損傷の方にとって、安定した座位を保てるかどうかは、日常生活の自立度を大きく左右します。座位が安定すれば、車椅子での移動、食事、着替え、デスクワークなど、活動の幅が格段に広がります。

しかし、体幹筋の麻痺がある場合、座位を保つこと自体が困難になります。当院では、残存する体幹機能を最大限に活かし、腹圧や呼吸の改善を通じて座位バランスの向上を目指しています。

呼吸と腹圧で体幹を内側から支える

体幹の筋力が低下していても、呼吸を通じて腹圧を高めることで、ある程度の体幹安定性を確保できる場合があります。Zone of Apposition(ZOA)に基づいた呼吸トレーニングで横隔膜の機能を最大限に引き出し、体幹を内側から支える力を養います。

腹圧が入るようになると、座位での姿勢が安定し、上肢を自由に使える範囲が広がります。食事の動作や車椅子の操作など、上肢の機能を十分に発揮するためには、安定した体幹が不可欠なのです。

上肢の機能を最大限に引き出す

脊髄損傷の方にとって、上肢の機能は生活の自立に直結します。残存する上肢の筋力を効率的に使えるようにするため、肩甲骨周りの可動域確保と筋力強化が重要です。

当院では、肩甲骨、肩関節、肘、手首、指先まで、丁寧にアプローチします。アクティブリリーステクニックで筋膜の癒着を解消し、関節の動きを滑らかにした上で、PNF的な手法を用いて効率的な筋力発揮パターンを再学習させます。

肩の痛みを予防する

車椅子生活が長くなると、移乗動作や車椅子操作で肩を酷使し、肩の痛みに悩まされる方が多くいます。肩関節のインピンジメントや腱板の炎症は、上肢の機能を大幅に制限します。

当院では、ジョイント・バイ・ジョイント・コンセプトに基づき、肩甲骨のモビリティと肩関節のスタビリティのバランスを整えることで、肩の障害を予防します。肩甲骨が正しく動けば、肩関節への過剰な負荷が軽減され、痛みなく上肢を使い続けることができます。

痙縮への対応

脊髄損傷後に生じる痙縮(筋肉の異常な緊張)は、日常生活の大きな妨げになります。突然の筋肉の収縮は、座位バランスを崩したり、移乗動作を困難にしたりします。

当院では、痙縮に対してソフトな筋膜アプローチで過度な筋緊張を緩和し、関節の可動域を確保します。YNSAによる神経系への刺激を組み合わせることで、痙縮のコントロールと残存機能の発揮を両立させるアプローチを行っています。

一人ひとりの目標に合わせた施術を

脊髄損傷の程度や生活環境は人それぞれです。当院では、姿勢改善・転倒防止・歩行によるQOL向上の3本柱を基本としながらも、お一人おひとりの損傷レベル、残存機能、生活目標に合わせたオーダーメイドの施術を提供しています。できることを一つでも増やし、生活の質を向上させる——その目標に向かって、一緒に取り組んでいきましょう。