心房細動による脳塞栓症後の失語症と高次脳機能障害|訪問施術でできること

脳塞栓症で言語と認知機能が影響を受ける理由

心房細動による脳塞栓症は、主幹動脈が閉塞するため広範囲の脳組織が損傷を受けやすく、運動麻痺に加えて失語症や高次脳機能障害を合併するケースが多くあります。言葉が出にくい、相手の話が理解しにくい、注意力が散漫になる、物事の段取りがつけられないなどの症状は、ご本人の生活を制限するだけでなく、ご家族にとっても大きな戸惑いの原因になります。

体の回復が心の回復を引き出す

高次脳機能障害やまだらボケがある方は、接し方が難しいと感じるご家族が多くいらっしゃいます。しかし、体が動けるようになると前向きになり、コミュニケーションへの意欲も高まることが多く見られます。

訪問施術では、身体的なリハビリを通じて成功体験を積み重ねていきます。昨日できなかったことが今日できるようになった、という小さな進歩の積み重ねが、ご本人の自信とモチベーションを回復させます。体を動かすことで脳への血流が増加し、認知機能にも好影響を与えます。体の回復と心の回復は密接に連動しているのです。

YNSAによる脳機能の賦活

YNSA(山元式新頭針療法)は、運動機能だけでなく言語機能や認知機能に関わる脳領域にも刺激を与えることができます。鍼刺激による脳血流の改善は、損傷周辺の「ペナンブラ」と呼ばれる回復可能な領域の機能回復を促進する可能性があります。

施術後に「言葉が出やすくなった」「周囲への関心が増した」という変化を感じる方もいらっしゃいます。YNSAと運動療法を組み合わせることで、脳全体の活性化を図り、身体機能と認知機能の両面から回復を支援します。

眼球運動と視野の改善

脳塞栓症では視野障害(半盲など)が生じることがあり、これが日常生活の大きな障壁になります。眼球の動きから神経を活性化させるアプローチにより、視野が広がり脳が活性化する効果が期待できます。

視線を様々な方向に誘導する訓練を行い、眼球運動に関わる神経回路を刺激します。視野が改善すると周囲の状況を把握しやすくなり、転倒リスクの軽減や歩行の安定にもつながります。視覚情報の処理能力が向上することで、空間認知や注意力の改善も期待できます。

コミュニケーションを促す施術の進め方

失語症のある方への施術では、声掛けの仕方が重要です。短くわかりやすい言葉で話しかけ、理解を確認しながらゆっくり進めます。「はい」「いいえ」で答えられる質問を多用し、コミュニケーションの成功体験を増やしていきます。

施術中の会話そのものがコミュニケーションリハビリの機会になります。体を動かしながら言葉を発する練習は、言語機能の回復を促進する効果があります。寝たきりの状態から声掛けと適切な刺激により口元が動き、「ありがとう」の言葉が出て、手を振ってくれるようになった例もあります。

ご家族への支援と接し方のアドバイス

高次脳機能障害のある方との生活は、ご家族にとって大きなストレスになりがちです。訪問施術では、経験豊富な施術者がご家族に対しても、接し方のコツや対応が難しい場面での具体的なアドバイスを提供します。ご本人が安心できる環境づくりから、日常のコミュニケーションの工夫まで、ご家族の理解と協力を得ながら、チームとしてリハビリに取り組む体制を構築します。