脳塞栓症後の歩行と再発予防を同時に考える
心房細動による脳塞栓症後のリハビリでは、麻痺からの歩行回復を目指すと同時に、脳塞栓症の再発予防も重要な課題です。抗凝固薬の服用中は出血リスクが高いため転倒を避けなければならず、一方で適度な運動は心機能の維持と全身の循環改善に不可欠です。この二つの要請を両立させるために、安全性を最優先にした歩行訓練プログラムが求められます。
安全な歩行獲得のための姿勢改善
脳塞栓症後の歩行を安全に行うための第一歩は、姿勢の改善です。姿勢改善・転倒防止・歩行でQOL向上という3本柱のアプローチが、安全な歩行再獲得の基盤となります。
股関節に重心を乗せた正しい姿勢を作ることで、バランスの安定性が向上します。麻痺側に体重を乗せる際も、股関節を中心にバランスを取ることで、膝折れのリスクを軽減できます。殿筋と中殿筋をPNF的な手法で活性化させ、片脚支持期の安定性を高めることが、転倒しない歩行への鍵です。
足裏のセンサー機能で転倒リスクを最小化
抗凝固薬を服用中の方にとって、転倒は出血性の合併症につながる危険があります。足裏の固有受容感覚を最大限に活性化させることで、バランスの崩れを早期に察知し、転倒を未然に防ぐ能力を高めます。
麻痺側の足裏にも継続的に刺激を入力し、残存する感覚機能を活用します。健側の足裏の感度も高めておくことで、麻痺側の感覚低下を補えるようにします。足裏から地面の情報をしっかり感じ取りながら歩く感覚を身につけることが、安全な歩行の基本です。
体幹の安定性と腹圧コントロール
体幹が不安定な状態での歩行は、転倒リスクを大幅に高めます。Zone of Apposition(ZOA)を意識した呼吸で腹圧を適切に維持し、歩行中も体幹を安定させることが重要です。
ただし、息こらえ(バルサルバ手技)は血圧上昇を引き起こすため避ける必要があります。呼吸を止めずに腹圧を維持する技術を練習し、歩行中も自然な呼吸を続けながら体幹を安定させられるようにします。この「息を止めずに腹圧を入れる」という技術は、心疾患のある方のリハビリにおいて特に重要なスキルです。
筋膜リリースで歩行効率を向上
麻痺側の筋膜癒着は歩行パターンの異常を引き起こし、エネルギー効率の低い歩行につながります。アクティブリリーステクニックで下肢全体の筋膜をリリースし、関節の可動域を確保することで、よりスムーズな歩行が可能になります。
ジョイント・バイ・ジョイント・コンセプトに基づき、足首のモビリティを回復させてかかと接地を改善し、膝のスタビリティを確保して支持性を高め、股関節のモビリティを広げて歩幅を拡大します。各関節が本来の役割を果たすことで、エネルギー効率の高い安全な歩行が実現します。
運動療法による心機能の維持向上
適度な有酸素運動は心臓のリズムを安定させ、全身の循環を改善する効果があります。訪問施術では、心拍数と血圧をモニタリングしながら、安全な範囲内で運動強度を設定します。歩行訓練そのものが有酸素運動となり、リハビリと心機能維持を同時に実現できます。麻痺の回復、転倒予防、心機能の維持という三つの目標をバランスよく達成するための包括的なケアを、訪問施術だからこそ提供できます。




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