心房細動による脳塞栓症の特徴
心房細動は不整脈の一種で、心房内にできた血栓が脳の血管に詰まると脳塞栓症(脳梗塞の一種)を引き起こします。心房細動由来の脳塞栓症は、比較的大きな血管が突然閉塞するため、広範囲の脳損傷を伴うことが多く、重度の片麻痺や失語症、高次脳機能障害が残りやすいのが特徴です。しかし、脳の神経可塑性を活かした適切なリハビリにより、時間をかけて機能を回復させることは可能です。
神経の可塑性を最大限に引き出すYNSA
広範囲の脳梗塞であっても、損傷を免れた脳の領域が失われた機能を代償する可能性があります。YNSA(山元式新頭針療法)は、脳の対応する領域に鍼刺激を加えることで、この神経可塑性を促進します。
YNSAの施術後に麻痺側の動きが改善することがあり、これは鍼刺激により休眠状態にあった神経回路が活性化された証拠です。この効果を活かして、YNSAの直後にPNF的な運動療法を行うことで、新しい神経回路を実際の動きに結びつけます。何年も動かなかった部位でも、適切な刺激と根気強いアプローチにより変化が生まれることがあります。
重度の筋緊張への筋膜アプローチ
脳塞栓症後の麻痺側は、筋緊張が非常に強いパターンになることが多くあります。腕が曲がったままガチガチに固まり、手が握りしめた状態から開かないケースも珍しくありません。
アクティブリリーステクニックで、神経反射パターンをかいくぐりながら肘を伸ばし、手指の拘縮が進まないようケアします。無理に引き伸ばすと痙縮がさらに強くなるため、筋膜の層を一枚ずつ剥がすような丁寧なアプローチが必要です。肩甲骨周り、股関節、膝関節、足首の可動域を地道に確保し続けることが、将来の機能回復の基盤となります。
歩行再獲得への段階的プログラム
重度の麻痺がある方でも、歩行の再獲得は大きな目標の一つです。かかとを接地して立てる、踏ん張って歩ける状態を目指し、段階的にアプローチを進めます。
まず座位バランスを安定させ、次に麻痺側への荷重訓練を行います。足裏の固有受容感覚を活性化させ、麻痺側の足が地面を感じ取れるようにすることが重要です。股関節に重心を乗せた姿勢で殿筋を活性化させ、麻痺側の下肢が体重を支えられるよう訓練します。歩行器やT字杖を活用しながら、安全な歩行パターンを構築していきます。
抗凝固療法中の運動管理
心房細動の方は抗凝固薬を服用していることがほとんどです。出血リスクが高いため、転倒による外傷を絶対に避けなければなりません。訪問施術では、転倒リスクを徹底的に管理した上で運動療法を行います。
施術中は常に安全を確保し、不安定な状態での運動は避けます。筋膜リリースの際も、皮下出血が起きやすいことに配慮してソフトな力加減で行います。安全性を最優先にしながらも効果的なリハビリを提供する、このバランス感覚が経験豊富な施術者の腕の見せ所です。
再発予防も含めた包括的ケア
脳塞栓症は再発リスクのある疾患です。適度な運動は心機能の維持と全身の血流改善に寄与し、再発予防にもつながります。訪問施術では、機能回復のリハビリと同時に、心肺機能の維持向上を図る運動プログラムを提供し、患者さんの将来を見越した長期的なケアを実践します。




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