骨盤骨折後に歩行障害が起こる理由
骨盤骨折は、高齢者の転倒や交通事故で起こりやすい重大な外傷です。骨盤は上半身と下半身をつなぐ「土台」であり、この土台が損傷を受けることで、歩行に深刻な影響が生じます。
骨折自体が治癒しても、多くの方が以前のように歩けなくなるのはなぜでしょうか。その原因は骨の問題だけではなく、筋力低下、関節可動域の制限、バランス感覚の低下、痛みによる代償動作が複合的に絡み合っているからです。
この記事では、骨盤骨折後の歩行障害のメカニズムを詳しく解説し、訪問リハビリマッサージによる回復の可能性についてお伝えします。
骨盤骨折の種類と歩行への影響
骨盤骨折は大きく「安定型」と「不安定型」に分類されます。安定型は骨盤輪の連続性が保たれている骨折で、恥骨枝骨折などが該当します。不安定型は骨盤輪が破綻した重度の骨折で、手術が必要になることが多いです。
高齢者に最も多いのは、転倒による恥骨枝骨折や仙骨骨折です。これらは安定型に分類されることが多いものの、長期の安静期間中に急激な筋力低下(廃用性筋萎縮)が起こり、結果として歩行障害が残存します。
また、骨盤周囲には股関節を動かす大殿筋・中殿筋・腸腰筋などの重要な筋肉が付着しています。骨折によりこれらの筋肉が損傷を受けたり、痛みで使えなくなることが、歩行障害の直接的な原因になります。
歩行障害を引き起こす4つの要因
1. 股関節周囲の筋力低下
骨盤骨折後の安静期間中に最も衰えやすいのが、股関節周囲の筋群です。特に中殿筋(お尻の横の筋肉)が弱くなると、歩行時に骨盤が左右に揺れる「トレンデレンブルグ歩行」が現れます。この不安定な歩行パターンが転倒リスクを大幅に高めます。
2. 股関節の可動域制限
安静期間中に股関節周囲の組織が硬くなり、十分な関節可動域が確保できなくなります。歩幅が狭くなり、足を十分に振り出せないため、小刻みな歩行やすり足になりがちです。
3. バランス感覚の低下
骨盤は体の重心を支える要です。骨折後は痛みや筋力低下により、重心制御が困難になります。特に重要なのが足裏の固有受容感覚(センサー機能)です。長期臥床により足裏の感覚が鈍くなると、地面からの情報が脳に伝わりにくくなり、バランス制御がさらに悪化します。
4. 痛みによる代償動作
骨折部位の痛みを避けるために、無意識に不自然な動きをとるようになります。患側への荷重を避けて健側に体重を偏らせる「跛行(はこう)」が定着すると、体全体のバランスが崩れ、腰痛や膝の痛みなど二次的な問題が生じます。
なぜ「普通のリハビリ」では改善しにくいのか
病院での急性期リハビリは、骨折の治癒と基本的な起立・歩行の再獲得に焦点が当てられます。しかし、退院後に自宅で生活を始めると、多くの方が「歩けるけれど不安定」「以前のようには歩けない」という状態に直面します。
これは、単なるマッサージや、ただ体を動かして歩かせるだけのリハビリでは解決できない問題です。骨盤骨折後の歩行障害は、骨盤周囲の筋力・関節機能・感覚・動作パターンのすべてに介入する必要があります。
鈴木密正の訪問リハビリマッサージでは、この複合的な問題に対して、姿勢改善・転倒防止・歩行でQOL向上という3つの柱を軸に、他とは違うアプローチで取り組んでいます。
骨盤骨折後の歩行改善における3つの重要原理
股関節重心の動作再学習
骨盤骨折後の方の多くは、立ち上がりや歩行時に膝重心になっています。膝に力を入れて立とうとすると、骨盤周囲の筋肉が十分に活性化されず、不安定な動きになります。
股関節重心での動作を再学習することで、骨盤周囲の筋肉が適切に使われ、安定した立ち座り・歩行が可能になります。これは骨盤骨折後のリハビリにおいて特に重要な考え方です。
足裏のセンサー機能の回復
長期臥床で鈍くなった足裏の固有受容感覚を回復させることが、バランス改善の鍵です。足裏が地面の状態を正確に感じ取れるようになると、脳が適切な筋肉に指令を送り、安定した歩行が可能になります。
腹圧を活用した体幹安定
骨盤の安定性を高めるために、腹圧を入れながら動作する習慣をつけることが重要です。腹圧が入ることで骨盤周囲がコルセットのように安定し、骨折後の不安定な骨盤を内側からサポートします。
姿勢改善が歩行回復の基礎になる
骨盤骨折後は、痛みや筋力のアンバランスにより姿勢が大きく崩れます。骨盤の傾きや回旋、脊柱のカーブの変化が歩行パターンに直接影響します。
しかし、曲がったものでもある程度姿勢を改善できるというのが私たちの考え方です。骨折の既往があっても、適切な介入により骨盤のアライメントを改善し、それに伴い歩行パターンも好転させることが可能です。
特に骨盤骨折後は、左右の骨盤の高さの差や回旋のずれが残存しやすいため、この微妙なずれを評価し、改善していくことが歩行回復の基礎となります。
患者の将来を見越したケアの重要性
骨盤骨折後の歩行障害を放置すると、活動量の低下→さらなる筋力低下→転倒リスクの増加→再骨折という悪循環に陥ります。特に高齢者では、この負のサイクルが短期間で進行します。
鈴木密正の訪問リハビリマッサージでは、現在の歩行能力の回復だけでなく、将来を見越したケアを行っています。再骨折の予防、筋力維持、バランス能力の向上など、長期的な視点でリハビリプランを設計することで、ご本人が安全に、自信を持って歩き続けられる未来を目指します。
骨盤骨折後の歩行にお悩みの方、またはそのご家族は、ぜひ訪問リハビリマッサージ相談所にご相談ください。ご自宅での評価を通じて、最適な回復プランをご提案いたします。




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