大動脈解離後の脳梗塞|ご家族のための介護ガイドと訪問リハビリの活用法

大動脈解離後の脳梗塞——ご家族が直面する課題

大動脈解離後に脳梗塞を発症された方のご家族は、心臓と脳の二つの重大疾患を同時にケアするという、非常に難しい状況に直面します。退院後の在宅生活では、血圧管理、服薬管理、麻痺のケア、精神的サポートなど、多くの課題があります。

在宅介護で最も大切な3つのこと

1. 血圧と服薬の管理

大動脈解離の再発予防には厳格な血圧管理が不可欠です。降圧薬と抗凝固薬(ワルファリンやDOACなど)の確実な内服を毎日確認してください。お薬カレンダーやピルケースの活用が効果的です。

2. 麻痺側のケア

脳梗塞による片麻痺がある場合:

  • 関節が固まらないように:毎日の他動運動(ご家族が手足をゆっくり動かす)
  • 麻痺側を下にして長時間寝ない:圧迫による循環障害に注意
  • 肩の亜脱臼予防:三角巾やアームスリングの使用
  • 浮腫のケア:麻痺側の手足を高い位置に置く時間をつくる

3. 精神面のサポート

大動脈解離と脳梗塞の二つの大病を経験された方は、うつ状態や不安障害を合併しやすいことが知られています。Hackett ML, et al.(Stroke, 2005)は、脳卒中後うつ病の発症率が約33%であることを報告しています。

  • 日中の活動を維持する(テレビだけの生活を避ける)
  • 会話の時間を大切にする
  • 小さな目標の達成を一緒に喜ぶ
  • 気分の落ち込みが続く場合は主治医に相談

訪問リハビリマッサージの活用

複合疾患を抱える方のケアは、ご家族だけでは限界があります。訪問リハビリマッサージ相談所は以下の形でご家族をサポートします:

サポート内容 詳細
専門的なリハビリ 血圧管理を重視した安全な運動療法、麻痺側の機能訓練
マッサージ 筋緊張緩和、拘縮予防、循環促進(抗凝固薬に配慮)
ご家族への指導 自主トレーニング方法、安全な介助技術、緊急時の対応
状態観察 定期的な訪問で体調変化を早期発見
多職種連携 主治医・ケアマネジャーとの情報共有

介護保険と医療保険の活用

大動脈解離後の脳梗塞の方は、多くの場合介護保険と医療保険の両方を活用できます:

  • 訪問リハビリマッサージ(当院):医療保険適用。介護保険の限度額とは別枠
  • 訪問看護:医療保険または介護保険。バイタルチェック、服薬管理
  • 訪問介護:介護保険。身体介護、生活援助
  • 福祉用具:介護保険。歩行器、杖、介護ベッドなど

ご家族自身の健康管理

複合疾患の介護は長期戦です。ご家族が倒れてしまっては元も子もありません

  • 介護サービスを積極的に利用して休息を確保する
  • 一人で抱え込まず、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談する
  • 介護者の会や相談窓口を利用する

よくある質問(FAQ)

Q. 大動脈解離と脳梗塞の両方がある場合、どちらの科に通えばいいですか?

A. 両方の科(心臓血管外科と脳神経内科/外科)への定期通院が必要です。ケアマネジャーと相談して通院計画を立てましょう。

Q. 訪問リハビリは週何回受けられますか?

A. 状態に応じて週1〜3回程度です。医師の同意書に基づき回数を設定します。

監修者情報
鈴木密正(すずき みつまさ)
訪問リハビリマッサージ相談所 代表
あん摩マッサージ指圧師。複合疾患を抱える患者さんとご家族への包括的在宅ケアを提供している。