大動脈解離と脳梗塞の二重の打撃からの回復
大動脈解離の手術と脳梗塞の発症という二重の打撃を受けた方は、長期の入院により全身の体力が著しく低下しています。退院後の在宅リハビリでは、心機能への負荷を適切に管理しながら、体力の回復と脳梗塞後遺症の改善を同時に進めていく必要があります。一般的な脳梗塞リハビリとは異なる特別な配慮が求められますが、適切なアプローチにより自立した生活を取り戻すことは十分可能です。
心機能に配慮した段階的体力回復
大動脈解離後は人工血管の状態や心機能の回復状況に応じた慎重な運動負荷管理が必要です。訪問施術では、毎回の施術開始時にバイタルサインを確認し、安全な運動強度の範囲を見極めてから施術を行います。
体力回復は低負荷から始め、座位での軽い運動→立位保持→短距離歩行→日常動作訓練と段階的に進めます。殿筋やハムストリングスの活性化も、PNF的な手法で軽い抵抗から始め、血圧の反応を見ながら少しずつ負荷を上げていきます。焦らず着実に体力を積み上げていくことが、安全で効果的な回復への近道です。
座位・立位の姿勢改善
長期入院後は体幹の筋力が大きく低下しており、座っているだけでも疲れやすい状態です。まず座位での姿勢を安定させることから始めます。
骨盤を起こし、股関節に重心を乗せた効率的な座り方を練習します。Zone of Apposition(ZOA)を意識した穏やかな呼吸で腹圧を少しずつ高め、体幹の支持力を回復させます。座位が安定してきたら、股関節を支点にした安全な立ち上がり動作を練習し、立位のバランス訓練へと進みます。各段階で心負荷を確認しながら、無理のないペースで進めることが重要です。
筋膜リリースによる全身のコンディショニング
長期臥床により全身の筋膜が硬くなり、関節の動きが制限されています。アクティブリリーステクニックで全身の主要な筋膜をソフトにリリースし、体の動きやすさを回復させます。
筋膜リリースは心臓への負荷が少なく、安全に行えるアプローチです。血流改善効果もあり、末梢の循環促進に寄与します。特に麻痺側の筋膜は癒着が進みやすいため、定期的にリリースして可動域を維持することが、将来の機能回復の土壌を作ります。
日常動作の安全な再獲得
自立した生活を送るためには、トイレ動作、入浴、着替え、食事など、基本的な日常動作を安全に行える必要があります。訪問施術では、ご自宅の実際の環境で一つひとつの動作を練習できます。
麻痺側と健側の使い分け、手すりの効果的な使い方、安全な動線の確保など、具体的な動作戦略を一緒に検討します。足裏のセンサー機能を活性化させ、転倒リスクを最小限にしながら活動範囲を広げていきます。できることが一つ増えるたびに自信が回復し、さらなるリハビリへのモチベーションにつながります。
ご家族と医療チームとの連携
大動脈解離後の脳梗塞という複合的な病態では、循環器科と神経内科の両方の視点が必要です。訪問施術では、主治医の指示を踏まえた上で、安全かつ効果的なリハビリプログラムを実施します。ご家族にも安全な介助方法や緊急時の対応をお伝えし、チーム全体で患者さんの回復をサポートする体制を整えます。患者さんの将来を見越した長期的なケアプランに基づき、一歩一歩着実に自立した生活の再獲得を目指します。




お電話ありがとうございます、
訪問リハビリマッサージ相談所でございます。