大動脈解離後に脳梗塞が起きる理由
大動脈解離は、大動脈の内膜に亀裂が入り、血管壁が二層に剥がれる緊急性の高い疾患です。Stanford A型大動脈解離(上行大動脈に解離がある場合)では、解離が総頸動脈や椎骨動脈に波及し、脳への血流が途絶えることで脳梗塞を発症するリスクがあります。
Mori T, et al.(Stroke, 2011)の報告では、急性A型大動脈解離の約6〜10%に脳梗塞が合併するとされています。大動脈の緊急手術に加え、脳梗塞の後遺症への対応も必要となる、極めて複雑な病態です。
訪問リハビリマッサージ相談所では、このような複合的な疾患を抱える患者さんに対して、循環器と脳血管障害の両方を考慮した安全なリハビリプログラムを提供しています。
大動脈解離後の脳梗塞の後遺症
| 後遺症 | 特徴 | リハビリのポイント |
|---|---|---|
| 片麻痺 | 脳梗塞の部位により片側の上下肢に麻痺 | 麻痺側の筋力回復と非麻痺側の代償動作獲得 |
| 感覚障害 | しびれ、触覚鈍麻、位置覚の低下 | 感覚入力の再教育、安全な動作の学習 |
| 高次脳機能障害 | 注意障害、記憶障害、失語症 | 生活環境の工夫と段階的な認知トレーニング |
| 嚥下障害 | 飲み込みの困難、誤嚥リスク | 姿勢調整、食形態の工夫 |
| 心臓・大動脈の管理 | 血圧管理が極めて重要 | 過度な努責を避けた運動設計 |
訪問リハビリマッサージのアプローチ
1. 血圧管理を最優先にした安全な運動設計
大動脈解離の既往がある方には、過度な血圧上昇を避けることが生命に関わる最重要事項です。訪問の度にバイタルチェックを行い、収縮期血圧130mmHg以下を目標に、運動強度を慎重にコントロールします。
2. 片麻痺に対する機能回復訓練
- 麻痺側の関節可動域維持・拘縮予防
- 筋緊張の緩和マッサージ
- 非麻痺側を活用した日常動作の獲得
- 段階的な歩行訓練(装具・杖の活用)
3. 生活全体のサポート
大動脈解離後の脳梗塞は、心臓外科・脳神経外科・リハビリ科と複数の専門科にまたがる疾患です。退院後の在宅生活では、一人の専門家が生活全体を見渡して包括的にケアすることが重要です。
当院では、主治医の指示のもと、安全に配慮しながら患者さんのADL回復とQOL向上を支援します。
ご家族へ
- 血圧管理:毎日の血圧測定を習慣にし、異常値は主治医に報告
- 服薬管理:降圧薬と抗凝固薬の確実な内服
- 安全な環境:転倒予防のための手すり設置、段差解消
- 精神面のサポート:二つの重大疾患を経験した方の不安に寄り添う
よくある質問(FAQ)
Q. 大動脈解離の後でも運動しても大丈夫ですか?
A. 主治医の許可のもと、血圧管理を厳密に行いながら適切な強度で運動することは推奨されています。過度な努責(いきみ)を避けた安全な運動を設計します。
Q. 脳梗塞の麻痺はどのくらい回復しますか?
A. 回復の程度は個人差がありますが、継続的なリハビリにより機能改善が期待できます。発症後6ヶ月以降も緩やかに改善が続くことが知られています。
監修者情報
鈴木密正(すずき みつまさ)
訪問リハビリマッサージ相談所 代表
あん摩マッサージ指圧師。循環器疾患と脳血管障害の複合症例に対する在宅リハビリテーションを提供している。




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