CIDPで歩行が困難になるメカニズム
CIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)では、末梢神経の障害により下肢の筋力が低下し、歩行が徐々に困難になります。特に足首を持ち上げる筋力が低下する下垂足は、歩行時につま先が引っかかり転倒する危険性が高い深刻な症状です。また、大腿部や殿部の筋力低下も加わると、立ち上がりや階段の昇降も困難になります。しかし、適切なリハビリにより歩行能力を維持・改善することは可能です。
下垂足に対する包括的アプローチ
下垂足は前脛骨筋の筋力低下が主な原因ですが、足首周囲の筋膜の硬さや関節可動域の制限も症状を悪化させます。アクティブリリーステクニックで足首前面・側面の筋膜をリリースし、背屈の可動域を最大限に確保します。
その上で、PNF的な手法を用いて前脛骨筋に適切な抵抗をかけながら背屈運動を誘導し、残存する神経筋接合の効率を高めます。完全な筋力回復が難しい場合でも、足首周囲の筋膜を柔軟に保つことで、装具の使用も含めた最適な歩行戦略を構築できます。
股関節代償戦略で安全な歩行を確保
足首や膝の筋力が低下している場合、より上位の関節で代償する戦略が有効です。股関節に重心を置き、殿筋群の力で体を前進させる歩行パターンを身につけることで、足首の筋力不足を補うことができます。
殿筋と中殿筋を積極的にアクティベーションさせ、股関節の伸展力で歩行の推進力を生み出します。膝重心ではなく股関節重心の歩行は、下肢全体のエネルギー効率が高く、限られた筋力でもより長い距離を歩くことが可能になります。ジョイント・バイ・ジョイント・コンセプトに基づき、使える関節の機能を最大化する戦略です。
足裏のセンサーで転倒を未然に防ぐ
CIDPの感覚障害は足先から進行するため、足裏の固有受容感覚の低下が歩行不安定の大きな原因になります。地面の情報を正確に感知できないと、段差やわずかな傾斜にも対応できません。
足裏への定期的な触覚・圧覚刺激により、残存する感覚機能を最大限に活性化させます。足指のグリップ力を高める訓練も並行して行い、歩行時の蹴り出し力と安定性を向上させます。感覚が低下している分、視覚情報や体幹の固有受容感覚で補う方法も指導し、多角的な転倒予防戦略を構築します。
体幹安定化で四肢の動きを効率化
四肢の筋力が低下しているCIDPの方にとって、体幹の安定性は動作効率に直結します。Zone of Apposition(ZOA)を意識した腹圧トレーニングで体幹を安定させると、手足を動かすために必要なエネルギーが大幅に削減されます。
腹圧が入った安定した体幹は、歩行時の上半身の揺れを抑え、下肢の筋力を推進力に集中させることができます。立ち座りの際も、腹圧を維持しながら股関節を支点に動くことで、膝や足首への負担を最小限にしながら安全に動作できます。
生活環境に合わせた実践的歩行訓練
訪問施術では、ご自宅の環境で実際の歩行場面を再現しながら練習できます。廊下の歩行、段差の昇降、トイレまでの移動など、生活に不可欠な動線を安全に移動する方法を一緒に確認します。必要に応じて手すりの設置場所や家具の配置変更も提案し、転倒リスクを最小限にした生活環境を整えます。ご家族への介助方法の指導も含め、包括的な生活支援を提供いたします。




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