CIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)のリハビリ|末梢神経障害と向き合う在宅ケア

CIDPとは|長期にわたるリハビリの重要性

CIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)は、末梢神経の髄鞘が慢性的な炎症により損傷を受け、手足の筋力低下やしびれ、感覚障害が緩徐に進行する疾患です。ギラン・バレー症候群の慢性型とも言えますが、CIDPは再発と寛解を繰り返しながら長期間にわたって経過するのが特徴です。免疫療法と並行して継続的なリハビリを行うことが、機能維持と生活の質の向上に不可欠です。

末梢神経の再生を促す複合的アプローチ

CIDPでは治療により炎症が抑えられると、損傷した髄鞘の再生が起こります。この再生過程で適切な刺激を与えることが、機能回復を最大化する鍵です。

YNSA(山元式新頭針療法)で中枢神経系を活性化させ、末梢への運動指令の伝達効率を高めます。同時に、PNF(固有受容性神経筋促通法)的な手法で末梢の筋肉に適度な刺激を入力し、再生しつつある神経と筋肉のつながりを強化します。鍼治療による血流改善効果は、神経再生に必要な酸素と栄養の供給を促進し、回復をさらに後押しします。

筋膜の柔軟性を維持して動きを確保

CIDPによる筋力低下が続くと、活動量が低下し筋膜の癒着が進みます。神経が回復しても筋膜が固まっていると、回復した筋力を十分に発揮できません。

アクティブリリーステクニックで全身の筋膜癒着を丁寧にリリースし、神経回復を受け入れる体の準備を常に整えておきます。特に手指、前腕、足首、ふくらはぎの筋膜を重点的にケアし、末梢の関節可動域を維持します。筋膜が柔軟な状態であれば、わずかな筋力の回復でも動きとして表現されやすくなります。

バランス障害と転倒予防

CIDPでは下肢の感覚障害と筋力低下が同時に生じるため、バランス障害が深刻な問題になります。足裏の固有受容感覚が低下し、足首や膝の安定性も損なわれるため、転倒のリスクが非常に高くなります。

足裏のセンサー機能を維持するための継続的な刺激と、股関節に重心を置いた安定した姿勢の獲得が重要です。膝重心の不安定な立ち方から、股関節重心の安定した立ち方に修正することで、少ない筋力でも安全に立位・歩行を維持できます。ジョイント・バイ・ジョイント・コンセプトに基づき、各関節の役割を最適化してバランス能力を向上させます。

体幹と呼吸の基盤づくり

四肢の末梢から症状が進む CIDPでは、体幹の機能を早期から維持・強化することが重要です。Zone of Apposition(ZOA)を意識した呼吸で腹圧を高め、体幹の安定性を確保することで、弱くなった四肢を効率的に使える土台を作ります。

腹圧が安定していると、手足の動きに必要なエネルギーが軽減され、疲労しにくくなります。呼吸と連動した体幹トレーニングは、日常動作のすべてに好影響をもたらし、活動性の維持に大きく貢献します。

寛解期と増悪期に合わせた柔軟な対応

CIDPは再発と寛解を繰り返す疾患であるため、その時々の状態に合わせた柔軟な施術設計が求められます。寛解期には積極的な機能回復訓練を行い、増悪期には無理をせず現状維持を目指したソフトなケアに切り替えます。訪問施術では、毎回の体調評価に基づいて施術内容を調整でき、患者さんの状態変化に即座に対応できます。長期にわたるCIDPとの付き合い方を、一緒に考えながらサポートし続けます。