脳梗塞後に「言葉が出てこない」「相手の話が理解できない」といった言語障害(失語症)が残ることがあります。失語症は外見からはわかりにくい障害であるため、ご家族や周囲の理解とサポートが回復に大きく影響します。この記事では、失語症の種類と特徴、そしてご家族が日常生活でできるコミュニケーションの工夫を解説します。
失語症とは?
失語症とは、脳の言語中枢が損傷されることで「話す・聞いて理解する・読む・書く」といった言語機能に障害が出る状態です。知能の低下ではありません。頭の中では考えることができるのに、それを言葉にして伝えることが難しくなる障害です。
脳梗塞患者の約20〜30%に失語症が見られるとされ、言語中枢がある左半球の損傷で起こることが多いです。
失語症の主なタイプ
| タイプ | 話す | 理解する | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 運動性失語 (ブローカ失語) |
困難 | 比較的良好 | 言いたいことはわかっているが言葉にできない。電報的な短い発話。 |
| 感覚性失語 (ウェルニッケ失語) |
流暢だが的外れ | 困難 | 流暢に話すが内容が伴わない。相手の話も理解しにくい。 |
| 全失語 | 困難 | 困難 | 話す・理解する両方が重度に障害される。最も重症なタイプ。 |
| 健忘失語 (失名詞失語) |
概ね可能 | 概ね可能 | 物の名前が出てこない。「あれ」「それ」が多くなる。 |
失語症と構音障害の違い
混同されやすいのが「構音障害」です。
- 失語症: 言語機能そのものの障害。言葉の理解や組み立てに問題がある
- 構音障害: 口や舌の筋肉の麻痺による発音の障害。言語の理解は正常で、書くことはできる
対応方法が異なるため、正確な鑑別が重要です。
ご家族ができるコミュニケーションの工夫
1. ゆっくり、短い文で話す
一度にたくさんの情報を伝えず、短い文でゆっくり話しかけましょう。「お茶、飲む?」のように、1つのことだけを聞くのがポイントです。
2. はい・いいえで答えられる質問をする
「何が食べたい?」よりも「うどんが食べたい?」「パンがいい?」のように、選択肢を示してあげると答えやすくなります。
3. 言葉以外の手段も活用する
絵カード、写真、ジェスチャー、指差し、文字盤など、言葉以外のコミュニケーション手段を積極的に使いましょう。スマートフォンの写真や実物を見せるのも効果的です。
4. 言葉を先回りしない
ご本人が言葉を探しているときに、すぐに代わりに答えてしまうのは逆効果です。焦らせず、待ってあげましょう。ただし、あまりにも辛そうな場合は「〇〇のこと?」とヒントを出してあげてください。
5. 子ども扱いしない
失語症は知能の低下ではありません。大人として接し、尊厳を守ることが大切です。赤ちゃん言葉や過度に簡単な表現は避けましょう。
6. 表情やうなずきで安心感を伝える
笑顔でうなずきながら聞くことで「あなたの話を聞いていますよ」という安心感を伝えられます。非言語的なコミュニケーションは失語症の方にも伝わります。
訪問リハビリマッサージと失語症
訪問リハビリマッサージは言語療法の専門家ではありませんが、定期的な訪問が失語症の方にとって貴重なコミュニケーション機会となります。施術中の会話や声かけが自然な言語刺激となり、言語機能の維持に役立つ場合があります。また、身体機能の改善によりご本人の自信や意欲が向上し、積極的にコミュニケーションを取ろうとする姿勢が生まれることも多くあります。
よくあるご質問
Q. 失語症は治りますか?
失語症の回復は損傷の部位と範囲、リハビリの内容によって大きく異なります。完全に元通りになることは難しい場合もありますが、適切なリハビリと環境の工夫により、コミュニケーション能力は改善します。発症後1年以上経過しても改善が見られるケースがあります。
Q. 失語症の専門的なリハビリはどこで受けられますか?
言語聴覚士(ST)による言語療法が専門的なリハビリです。病院の外来リハビリ、訪問リハビリテーション、介護保険の通所リハビリなどで受けることができます。訪問リハビリマッサージと併用すると効果的です。
まとめ
脳梗塞後の失語症は、ご本人にとってもご家族にとっても大きなストレスとなります。しかし、適切なコミュニケーションの工夫と継続的なリハビリにより、改善の可能性があります。ご家族の理解と支えが何より大切です。訪問リハビリマッサージでは、身体面のケアとともに、コミュニケーションの機会を提供し、ご本人の回復を総合的にサポートします。
フリーダイヤル:0120-92-4976(9:00〜20:00 日祝休み)
この記事の監修者:鈴木密正 鍼灸あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師。20年以上の臨床経験を持ち、アメリカでファンクショナルトレーニングを学んだ経歴を持つ。大阪訪問リハビリマッサージセンター代表。
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