高次脳機能障害は脳梗塞後に起こる「見えない障害」です。外見からはわかりにくいため周囲に理解されにくく、ご本人やご家族が大きなストレスを抱えるケースが少なくありません。この記事では、高次脳機能障害の主な症状と、ご家族ができる日常生活での対応を解説します。
高次脳機能障害とは?
高次脳機能障害とは、脳の損傷によって注意力、記憶力、判断力、計画性などの「高次」の認知機能に障害が出る状態です。手足の麻痺のような目に見える障害とは異なり、日常生活の中で初めて気づくことが多いのが特徴です。
厚生労働省の推計では、国内の高次脳機能障害者は約50万人とされています。脳梗塞は原因疾患の第1位です。
高次脳機能障害の主な症状
1. 注意障害
集中力が続かない、同時に複数のことができない、周囲の刺激に気を取られやすいなどの症状です。
具体例: テレビを見ながら会話ができない、料理中に火をかけていることを忘れる、長時間の読書や作業が続かない
対応のコツ: 静かな環境を作る、1つのことに集中させる、こまめに休憩を入れる、テレビを消してから話しかける
2. 記憶障害
新しいことが覚えられない、同じことを何度も聞く、約束を忘れるなどの症状です。過去の記憶は保たれていることが多いのが認知症との違いです。
具体例: 数分前に聞いた話を覚えていない、薬を飲んだかどうか忘れる、さっき食べた食事の内容を思い出せない
対応のコツ: メモやカレンダーを活用する、お薬カレンダーを使う、毎日同じルーティンを作る、重要な情報は書いて渡す
3. 遂行機能障害
計画を立てて段取りよく物事を進めることが難しくなります。
具体例: 料理の手順がわからなくなる、出かける準備を順番に進められない、仕事の優先順位がつけられない
対応のコツ: 手順を紙に書いて掲示する、やることリストを作る、1つずつ指示を出す
4. 半側空間無視
脳の損傷と反対側の空間に注意が向かなくなる障害です。右半球の損傷で左側を無視するパターンが最も多いです。
具体例: 食事の左半分だけ残す、廊下の左側の壁にぶつかる、左側から話しかけても反応しない
対応のコツ: 無視側から声をかけて注意を向けさせる、食器を回転させて残りに気づかせる、歩行時は無視側に付き添う
5. 社会的行動障害
感情のコントロールが難しくなり、些細なことで怒る・泣く(感情失禁)、意欲が低下する、周囲への配慮が欠ける、衝動的に行動するなどの症状が出ます。
対応のコツ: 感情的にならず冷静に対応する、怒りのきっかけを避ける環境を作る、良い行動を褒めて強化する
高次脳機能障害と認知症の違い
| 項目 | 高次脳機能障害 | 認知症 |
|---|---|---|
| 原因 | 脳梗塞等の脳損傷 | 神経変性疾患等 |
| 発症 | 急性(突然起こる) | 緩やかに進行 |
| 経過 | 改善の可能性あり | 一般的に進行性 |
| 過去の記憶 | 保たれることが多い | 徐々に失われる |
| 本人の自覚 | あることが多い | 自覚がないことが多い |
訪問リハビリマッサージとの関わり
訪問リハビリマッサージは高次脳機能障害の直接的な治療ではありませんが、以下の点で支援ができます。
- 定期訪問による生活リズムの確立(注意障害への対応)
- 施術中の会話による認知刺激
- 身体機能の改善を通じた自信と意欲の回復
- ご家族へのアドバイスと精神的サポート
よくあるご質問
Q. 高次脳機能障害は治りますか?
完全に元通りになることは難しい場合もありますが、適切なリハビリと環境調整により改善が見込めます。特に発症後1〜2年は改善の可能性が高い時期です。
Q. 家族はどう接すればよいですか?
障害の特性を理解した上で、できないことを責めず、できることを認めて褒めることが大切です。環境を整え、ルーティンを作ることで安定した生活が送れるようになります。
まとめ
高次脳機能障害は脳梗塞後の「見えない障害」ですが、正しい理解と適切な環境調整で生活の質を大きく改善できます。注意障害、記憶障害、遂行機能障害、半側空間無視、社会的行動障害など、さまざまな症状がありますが、それぞれに対応のコツがあります。ご家族の理解とサポートが回復の鍵です。
フリーダイヤル:0120-92-4976(9:00〜20:00 日祝休み)
この記事の監修者:鈴木密正 鍼灸あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師。20年以上の臨床経験を持ち、アメリカでファンクショナルトレーニングを学んだ経歴を持つ。大阪訪問リハビリマッサージセンター代表。
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