脳梗塞後の肩の痛み(亜脱臼・肩手症候群)への対処法

脳梗塞後の片麻痺で多くの方が悩むのが「麻痺側の肩の痛み」です。片麻痺患者の約70%が肩の痛みを経験するとされ、リハビリの妨げや睡眠障害の原因にもなります。この記事では、肩の痛みの主な原因である亜脱臼と肩手症候群について、メカニズムと対処法を解説します。

脳梗塞後に肩が痛くなる原因

1. 肩関節の亜脱臼(あだっきゅう)

健常な場合、肩関節は周囲の筋肉(特に棘上筋や三角筋)によって安定しています。しかし片麻痺により筋肉が弛緩すると、腕の重みで上腕骨が肩甲骨の受け皿(関節窩)からずれ落ちます。これが亜脱臼です。

亜脱臼は麻痺側の肩を触ると関節の間に指が1〜2本入る隙間ができているのが特徴です。腕がぶら下がった状態になるため、関節周囲の靱帯や神経が引っ張られて痛みが生じます。

2. 肩手症候群(CRPS / 複合性局所疼痛症候群)

麻痺側の肩から手にかけて激しい痛み、腫れ、皮膚温度の変化が起こる症候群です。進行すると手の浮腫、皮膚の光沢化、関節拘縮が起こり、最終的に手が使えなくなる場合もあります。

原因は完全には解明されていませんが、交感神経の異常反応が関与していると考えられています。早期発見・早期治療が非常に重要です。

3. 筋緊張異常による痛み

痙縮(けいしゅく)により肩周囲の筋肉が異常に緊張し、肩を動かした際に痛みが出ます。特に着替えや入浴の際に腕を動かすと強い痛みが走ることがあります。

肩の痛みへの対処法

亜脱臼への対処

  • 三角巾・アームスリングの使用: 立位や歩行時に麻痺側の腕を支えて肩関節への負担を軽減
  • 正しいポジショニング: 座位では腕をテーブルやクッションの上に置き、腕が下に垂れないようにする
  • 肩周囲の筋力強化: 回復に伴い、棘上筋や三角筋の筋力訓練を行う
  • 介助時の注意: 麻痺側の腕を引っ張らない。必ず体幹ごと支えて移動する

訪問マッサージによるアプローチ

当センターでは肩の痛みに対して以下のアプローチを行います。

  • 肩周囲の筋緊張緩和: 僧帽筋、三角筋、大胸筋、広背筋などのマッサージで筋緊張を緩和
  • 愛護的な関節可動域訓練: 痛みのない範囲で肩関節を少しずつ動かし、拘縮を予防
  • 鍼灸治療: 肩周囲のツボへの鍼刺激で痛みの緩和と血流改善を図る
  • 肩甲骨のモビライゼーション: 肩甲骨の動きを改善することで肩関節全体の機能を向上

ご自宅でできる肩の痛みケア

  • アイシング: 腫れや熱感がある場合は、タオルで包んだ保冷剤を15分程度当てる
  • 温熱療法: 慢性的なこわばりには蒸しタオルやカイロで肩を温める
  • 腕の挙上: 仰向けで枕の上に麻痺側の腕を置き、肩より高い位置で休ませる
  • 肩甲骨まわし: ご家族が肩甲骨を上下・内外にゆっくり動かす

やってはいけないこと

  • 麻痺側の腕を引っ張って移動させる(亜脱臼の悪化リスク)
  • 痛みを我慢して無理に肩を動かす(炎症の悪化リスク)
  • 麻痺側の腕で体重を支える(関節損傷リスク)

改善事例

70代女性・右肩の亜脱臼と痛み(東大阪市)

脳梗塞後の左片麻痺により左肩の亜脱臼が発生。着替えのたびに激しい痛みがあり、リハビリにも消極的になっていました。週2回の訪問施術で肩周囲の筋緊張緩和マッサージ、肩甲骨モビライゼーション、愛護的な関節可動域訓練を実施。2ヶ月で痛みが軽減し着替えが楽になり、4ヶ月後にはリハビリへの意欲も回復。※効果には個人差があります。

よくあるご質問

Q. 肩の痛みはいつまで続きますか?
適切なケアを行えば数ヶ月で改善するケースが多いですが、放置すると慢性化する場合があります。早めの対処が重要です。

Q. 亜脱臼は元に戻りますか?
筋力の回復に伴い改善する場合がありますが、完全に元通りになることは難しいケースもあります。アームスリングの適切な使用と筋力訓練で症状を管理します。

まとめ

脳梗塞後の肩の痛みは片麻痺患者の多くが経験する問題ですが、正しい知識と適切なケアで軽減できます。訪問リハビリマッサージによる筋緊張の緩和、関節可動域訓練、鍼灸治療を組み合わせ、痛みのない生活を目指しましょう。

フリーダイヤル:0120-92-4976(9:00〜20:00 日祝休み)

この記事の監修者:鈴木密正 鍼灸あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師。20年以上の臨床経験を持ち、アメリカでファンクショナルトレーニングを学んだ経歴を持つ。大阪訪問リハビリマッサージセンター代表。

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