脳梗塞の後遺症は身体だけではない――家族が直面する「見えにくい障害」
脳梗塞の後遺症というと、手足の麻痺や言葉の障害をイメージされる方が多いかもしれません。しかし実際の在宅介護では、高次脳機能障害やまだらボケ(まだら認知症)といった「見えにくい障害」が、ご家族にとって最も大きな負担となるケースが少なくありません。
「さっきまで普通に話していたのに、急に怒り出す」「同じことを何度も聞いてくる」「やる気がまったく起きないように見える」――こうした変化に戸惑い、どう接すればいいのかわからず疲弊してしまうご家族は非常に多くいらっしゃいます。
当相談所では、脳梗塞後遺症の方を数多く施術してきた経験から、身体のリハビリだけでなく、ご家族への対応アドバイスも含めた包括的なサポートを行っています。この記事では、在宅介護で直面しやすい課題と、その具体的な向き合い方をお伝えします。
高次脳機能障害とは?――脳梗塞後に起こりやすい症状
高次脳機能障害は、脳の損傷によって記憶・注意・判断・感情コントロールなどの機能に支障が出る状態です。外見からはわかりにくいため「怠けている」「わがままになった」と誤解されやすく、ご本人もご家族も苦しむことが多い障害です。
代表的な症状
注意障害では、一つのことに集中し続けられない、複数のことを同時にできなくなるといった変化が現れます。テレビを見ながら会話するといった以前は当たり前にできていたことが難しくなります。
記憶障害では、新しいことが覚えられない、同じことを何度も聞くといった症状が出ます。ただし昔の記憶は比較的保たれていることが多く、これが「まだら」に見える原因にもなります。
遂行機能障害では、段取りが立てられない、計画的に物事を進められなくなります。料理の手順がわからなくなる、出かける準備ができないといった形で現れます。
社会的行動障害では、急に怒り出す、感情の起伏が激しくなる、周囲の状況にそぐわない言動をとるなどの変化が見られます。これがご家族にとって最もストレスになりやすい症状です。
「まだらボケ」の正体と接し方のコツ
脳梗塞後に見られる「まだらボケ」は、調子の良い時と悪い時の波が大きいのが特徴です。「さっきは普通だったのに」という場面が繰り返されるため、ご家族は「本当はできるのにやらないのでは」と感じてしまうことがあります。
しかしこれは脳の損傷部位による機能低下であり、ご本人の意思とは関係ありません。この理解が、適切な接し方の第一歩となります。
接し方の基本
まず「できる時」を基準にしないことが大切です。調子の良い時のパフォーマンスを当たり前と思わず、「今日は調子が良い日だ」と受け止めるようにしましょう。
次に一度に一つのことだけ伝えることを心がけてください。「お風呂に入って、着替えて、薬を飲んで」ではなく、一つずつ区切って伝えることで混乱を防げます。
また感情的な反応に巻き込まれないことも重要です。急な怒りや興奮は脳の障害による症状であり、ご本人も制御できません。少し距離を置いて落ち着くのを待つことが有効です。
経験豊富な施術者だからできる対応
訪問リハビリマッサージの現場では、施術者がご本人と一対一で向き合う時間が生まれます。当相談所の施術者は、高次脳機能障害を合併した脳梗塞後遺症の方を数多く担当してきた経験があり、対応が難しい方でも深く理解した上で施術を行うことができます。
たとえば、感情が不安定になりやすい方には声かけのタイミングや言葉の選び方を工夫し、注意障害がある方には一つの動作に集中できるよう環境を整えてから施術に入ります。こうした配慮は、症状への深い理解と豊富な経験がなければ難しいものです。
また、施術を通じて身体が動くようになることで、ご本人の気持ちが前向きになり、高次脳機能障害の症状が和らぐケースも経験しています。身体と心は密接につながっており、麻痺側が少しでも動くようになるという成功体験が、生活全体に良い影響を及ぼすのです。
ご家族の負担を軽くするために
在宅介護で最も避けたいのは、ご家族が一人で抱え込んでしまうことです。特に高次脳機能障害がある場合、日々の対応に正解がなく、終わりが見えない疲労感に襲われることがあります。
介護する側が倒れてしまっては元も子もありません。定期的な訪問施術は、ご本人の身体機能維持だけでなく、ご家族が少し手を離せる時間を作るという意味でも大きな役割を果たします。
また、施術者が定期的に訪問することで、ご本人の状態変化にいち早く気づけるメリットもあります。「最近少し反応が鈍くなった」「表情が暗い日が増えた」といった微細な変化を、経験ある施術者の目で捉え、ご家族にフィードバックすることが可能です。
当相談所の脳梗塞リハビリの特徴
当相談所では、脳梗塞後遺症に対してYNSA(山元式新頭針療法)やアクティブリリーステクニック、神経の可塑性を引き出すアプローチを組み合わせた施術を行っています。「麻痺は治らない」という前提に立つのではなく、麻痺側にも積極的にアプローチすることで、何年も動かなかった手足に変化が生まれるケースを数多く経験してきました。
さらに、ジョイント・バイ・ジョイント・コンセプトに基づき、関節ごとのスタビリティとモビリティを評価しながら、姿勢改善・転倒防止・歩行によるQOL向上の3本柱で施術を進めます。単なるマッサージや、ただ体を動かすだけのリハビリとは異なる、根拠に基づいたアプローチです。
ご本人の身体的な回復と、ご家族が安心して在宅介護を続けられる環境づくり。その両方を支えることが、私たちの役割だと考えています。まずはお気軽にご相談ください。
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